地方創生 〜アフターコロナの新しい形〜

「疎」テレワークに好適 実装に入った地方創生 具体的事例から考える持続可能な経済循環

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■基調講演 ワーケーションで推進する地方創生

デジタル遷都で 地方創生2.0実現

衆議院議員 平 将明 氏

 コロナ禍によって地方創生は今、新たなフェーズに入ろうとしている。菅政権にとってデジタル化の遅れは大きな課題だが、私はその解決策として、「デジタル遷都」と「地方創生2.0」を提唱している。

テレワークの急速な普及からも分かるように、デジタル化の遅れはテクノロジーの問題だけではない。コロナを機に、政府の機能を大胆に、リアルな社会からデジタル空間、サイバー空間に移していくべきだ。

 もちろん物理的に場所を移すのではなく、リアルからサイバー空間への遷都だが、それには実際に都を移すほどの権限、法的な根拠、予算が必要になる。その意味で、菅内閣が、デジタルを政策の根幹に据えたことは歓迎すべきことだ。

 今後は「疎」が重要になる。コロナを封じ込めたとしても、新たなウイルスの脅威にさらされていることに変わりはない。災害のリスクもある。その意味でもデジタル遷都は急務だ。

 政府機能がデジタル化されれば、どこからでもアクセス可能になり、わざわざ東京に来なくても済むようになる。政府や地方自治体のデジタル化が、先を行く民間のデジタルトランスフォーメーション(DX)と歩調を合わせることで、社会全体のデジタル化が進む。

 そうなれば、東京に来る必要がなくなる。リモートワークなら、より東京に近い駅そばの狭いワンルームマンションより、少し離れていても、広いところで住む選択肢が選ばれるようになる。さらには、ワーケーションのような、様々な働き方も取り入れられる。

 「地方創生2.0」の「2.0」とは、コロナ禍でフェーズが変わる、IT(情報技術)を駆使するようになることだ。まさに、新たなフェーズに入ったと考えている。

 従来の地域経済活性化は、地域内だけでは、人口とともに需要は減少するため、いかに地域外の需要を取り込むかが重要だった。そこにインバウンドも取り込む。しかし、コロナを機に、特に観光や外食では、域外から人を呼び込むことが困難になった。ここで、考え方を変える必要がある。

 withコロナの時代は、内需に外需を上乗せしたように、リアルにデジタルを上乗せすることが必要になる。Eコマースはもちろん、一次産品をSNSなどを活用して直接消費者に届けるようなサービスも生まれてきた。アフターコロナでは、インバウンドが戻り、さらなる成長につながる。

 加えて、エネルギーの地産地消やマイクロツーリズムなど内需の喚起にも力を入れていく必要がある。そして外需で可能性が高いのが、ワーケーションだ。

 流れは「密」から「疎」だ。施設利用も、週末や祝日の混雑から平準化していく。「密」を避けて「疎」を実現しながら稼働率上げる。その観点でも、ワーケーションは重要だ。時間で制約される働き方から成果で評価をされる働き方への転換も必至だ。我々も、ワーケーションを議論する中で、働き方改革第2弾の立法に取り組みたい。

 デジタル化は場所にこだわらないため、地域を飛び越える面がある。国土や社会の分散化を進め、各地域が持つ潜在能力を最大限に引き出し、地域内経済さらには日本経済をしっかり振興し、盛り上げていくことが必要だ。

■パネルディスカッション ワーケーションと地方創生
●パネリスト
環境大臣 小泉 進次郎 氏(事前収録によるビデオメッセージで参加)
平 将明 氏
環境省自然環境局国立公園課長 熊倉 基之 氏
カヌチャベイリゾート代表取締役社長 白石 武博 氏
KabuK Style共同代表 大瀬良 亮 氏
●コーディネーター
BSテレ東「日経プラス10」キャスター 榎戸 教子 氏

 榎戸 まずは、小泉環境相のお話から。

 小泉 コロナの時代は、自然豊かな国立公園でもリモートで働けるようになった。それは、地方創生にもつながる。リモートワークに適した環境を整えることで、「また行きたい」から「また行く」という行動に変わる。ワーケーションには大きな可能性がある。環境省が旗振り役となり、ここまで盛り上がってきた。定着するように後押しをしていきたい。

 榎戸 環境省はどう取り組んでいるのか。

 熊倉 コロナ禍で、国立公園の従来型観光旅行以外の新しい利用価値が必要になった。そこで、民間事業者やDMO(観光地域づくり法人)、複数の事業者が集まった地域協議会の取り組むワーケーションツアー、ネットワーク環境の整備に補助を実施した。加えて、環境省自身も小泉環境相はじめ職員が全国の国立公園や温泉地で、ワーケーションを実施した。

 白石 施設内にリゾートオフィスを開設。コワーキングスペースとマルチスペースを居室と組み合わせ、宿泊棟のどこでも仕事ができるようにした。

 大瀬良 今後は、どこで働き、どこに住むか、どう休みを過ごすかを、自由自在に組み合わせる時代になる。弊社のHafHというサービスでは、それを定額で提供する。

 自分に適した住まいやワーケーション先が見つかるよう、多くの選択肢を用意した。通信環境やオンライン会議に適した静寂さなどに加え、海が見える、森がある、買い物が便利など周辺環境も重要視している。施設側にも、平日と週末の利用率の平準化などのメリットがある。

 課題は、行政が積極的にワーケーションを推進する一方で、企業側が依然として腰が重いという点。これには、(1)ヘルスインパクト~社員の健康増進につながる(2)ビジネスインパクト(3)オープンイノベーション~オフィスでは気づかない課題に気づき、新しいビジネスを生む(4)ソーシャルインパクト~地域課題の解決につながる、自然と触れ合うことで環境問題への意識を高める(5)ファミリーインパクト~家族連れのワーケーションで、子供の教育にも波及する、の5つの効果があると訴えている。

  企業側がどう変わるかは重要。若い人たちの価値観やライフスタイルが変わることで、それに適合、対応できない企業は、再び人手不足になった際、人材を確保できない。兼業や副業の解禁、働き方の多様性を認めることでイノベーションが起きやすくなる。

垣根低くし、オンオフを切り替え 白石 氏

 榎戸 生産性向上の可能性は。

 大瀬良 数値化は難しいが、仕事への愛が変わっていく。仕事が、会社が好きになることも、生産性にもつながるのではないか。

 熊倉 ワーケーションを通じ、地元ニーズがどこにあり、自分たちの施策がどう受け止められているか、肌で感じることができる。それは職員のモチベーションのアップにつながる。

  G7サミットもリゾート開催だ。各国のリーダーが、風光明媚(めいび)な場所で、リフレッシュして、課題を議論する。イノベーティブなアイデアはそういう環境で生まれる。

 榎戸 遊ぶと働くのすみ分けはどうするのか。

 白石 仕事専用の場所を作り、物理的に出退勤を管理し、企業にその情報を提供する。居室とはわずか30秒の移動だが、その中に入って、仕事モードになり、出たらオフになり、家族と遊ぶ。まずは垣根を低くする仕組みを作った。

移住より、まず関係人口の増加を 熊倉 氏

 大瀬良 例えば「リモートフライデー」のようなことができないか。プレミアムフライデーをwithコロナの時代に合わせて、みんなでリモートワークしてみようとか。

 熊倉 普通に仕事をしていると、ルーティン化しがち。しかし、クリエーティブなことをやろうとしたら、集中が必要。その場として自然の中というのは、適している。

 榎戸 ワーケーションで地方創生をどう実現するか。

 熊倉 まずは、関係人口の増加。移住までいかなくても、週1や月1など、リピーターになる、たまにやってみるが、増えるといい。

人とのつながりでリピーター確保 大瀬良 氏

 白石 地方は消費人口や生産人口がほしい。定住するのではなく、都合のいい時間に都合よく使う形が望ましい。

 大瀬良 もう一度行きたいまちをつくるという意味で重要なのはコミュニティー。「あのおっちゃんに、あのお母さんに会いたい」という、人とのつながりが大事なポイントになる。

  二地域居住や多地域居住も重要だ。インバウンドが厳しい中、人口は減少トレンドにあり、地域内の人とお金が、どれだけ動くかが重要になる。リスクマネジメントの観点でも、例えば首都直下型地震が発生したら、行き慣れた地域に避難する。

 問題は、子供たちの学校。コロナ禍でリモート教育も進み、決まった時間に決まった教室に行く必要はなくなった。社会全体がDX化することで、家族みんなでのワーケーションが可能になる。

DXの推進で、新たな未来へ加速 平 氏

 榎戸 ワーケーションが、一時的なものに終わらないか。

 白石 デジタルに詳しくない高齢層のために、メディカルなサービスを取り入れた。ただ働く+遊び、旅行ではなく、健康管理を加えることで、より選ばれやすくなると考えた。

  ICチップ付きの保険証や政府が個人の銀行口座を把握しているなど、デジタル化の遅れによる国内外の違いが浮き彫りになった。しかし、その後の対応は早い。日本の強みを生かしたDXによって、新たな未来は開ける。今後、地方創生は今までとはまったく違う次元のスピード感で進んでいくことになる。

 熊倉 菅首相の意向もあり、政府全体でワーケーションを推進したい。

 白石 感染防止対策も万全で、安心して多くの方に沖縄に来ていただきたい。

 大瀬良 まずは体験から。ぜひ一度、HafHでワーケーションを。

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