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「えこひいきも辞さず」 日本のスタートアップ、海外でも存在感 CESやSXSWで高い評価

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■CESのトレンドはボーダレス、最右翼は「食べ物」

 「ベストオブベストはインポッシブルフード」。CESアワードの表彰式で司会者がそう発表したとき、集まっていた聴衆は盛大な拍手を送った。盛り上がりの直後、「食べ物なの?」という微妙な雰囲気が一部で漂った。

 CESはもともと、コンシューマーエレクトロニクス(CE、家電製品)のショー(S)だったが、ITの発展に伴い、主役の座がコンピューターになり、近年ではグーグルやアマゾンが大型のブースを構え、自動車会社も出展するようになった。さらに、快適な睡眠を支えるスリープテックやスポーツの楽しみを増すスポーツテックなどの展示も拡大している。動物性の肉を使わない植物性の肉が最優秀賞を取ることは、貪欲に成長分野に挑む世界のスタートアップの姿勢を象徴していると言えそうだ。

 日本のスタートアップが、今後もCESで存在感を示すには、ほかの企業が手掛けていない新しい分野に挑戦していく心構えが求められそうだ。 

■MWC、SXSWでも余勢駆る

 MWCでも日本勢は余勢を駆って、存在感を高めた。併設されたスタートアップイベント「4YFN」には、20社のスタートアップが参加した。J-Startupの海外展開を担う日本貿易振興機構(JETRO)が重視したのは、個別の商談。JETROによると、4YFNが開かれた3日間で1社当たり100件ほどの商談が設定できたという。複数の対話アプリをまたいで使える多言語翻訳サービスを手がけるKotozna(ことつな、東京・港)は、「スペイン語に対応する様子を見せ、現地の人にかなり興味を持ってもらえた。韓国企業などとも具体的な商談が進んだ」(後藤玄利代表取締役)と好感触を得た。

 SXSWには大学関連スタートアップの参加が目立った。東京大学は2014年から、「Todai To Texas Project」と称して、スタートアップ企業や研究者のチームを送り出している。SXSWのトレードショーは新サービスのお披露目の場として定着している。今年は、新しい接ぎ木技術を実現したGRA&GREENや朝食調理ロボットのThe Breakfast Machineなど7社・チームが参加した。愛知県は名古屋大学、名古屋工業大学の学生を派遣した。デジタルハリウッド大学大学院の現役院生・修了生が出展した。

 近年、SXSWの主要分野となっている教育領域では、iPadを使った新しい暗算学習法「そろタッチ」を提供するDigika(デヂカ、東京・千代田)がピッチコンテストのファイナリストに残った。日本のスタートアップの評価を高めた。

 海外イベントへの出展は、日本のスタートアップが自分たちの立ち位置を知る、よい機会だ。いたずらに卑下することも慢心することもなく、実力を見極めることで、世界に通じる製品やサービスを育てるきっかけになるかも知れない。

(上田 敬)

キーワード:経営層、管理職、プレーヤー、経営、企画、技術、イノベーション、ICT、フィンテック

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