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外国人就労の落とし所(5)一時的労働力と移民の軟着陸 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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日本にいながら技能伝承を行う。観光客誘致の水先案内人も

 本来技能実習制度は、母国に戻り技能伝承することが前提だが、特定技能で日本にて継続就労するとそれができない。そこで、以下のような代替案を講じたい。

後輩実習生への技能指導・生活支援・相談/苦情窓口

 実習終了後に帰国せず、特定技能資格で就労した者は、たとえば年120時間程度、監理団体や外国人技能実習機構などで後輩の指導支援をするのだ。きっと、メールや電話での母国語相談役として重宝するはずだ。さらには地域の観光大使などを引き受け、母国からの観光客の案内人としての奉仕なども、代替活動に認めていく。こうした仕組みにより、制度運営の負担を軽くし、また地元への利益誘導に一役買うことができる。

帰国インセンティブ拡充のため年金脱退一時金の見直しを

 続いて、期間満了者の帰国を促すインセンティブを用意する。現在は、年金積立額の脱退一時金のみが帰国インセンティブだ。ただしこれは、拠出した年金額の半額(厚生年金であれば自己負担分のみ)となる。そのため、厚生年金見当で3年満了なら約36万円、今後特定技能を加えて最大8年となっても96万円程度に留まる。半額しか返金しない理由は、「遺族年金・障害年金などでの保障分として徴収している」とのことだが、若年主体の技能実習生であれば、その額は大したものではないだろう。

 これに企業負担分(国民年金であれば、各自支払いの全額)を加えると、8年滞留であれば200万円近い大きな額となる。このあたりを何とかできないものか。

外国人就労者受け入れ基金で支援拡充、帰国インセンティブも

 なんども書いたことだが、技能実習制度は予想以上に細かな指導・支援が施され、そのために、受け入れ企業は、管理団体への監理費・年会費という形でけっこう多額の出費が強いられる。一人受け入れで年に80万~100万円程度かかっているだろうか。この出費を嫌がる企業が、特定技能での雇い入れ(登録支援機関を使わなければ)、目に見える出費は抑えて、何も支援をしないということが起こりうる。

 そこで一案だが、特定技能での就労者向け基金を作り、企業は就労者の労賃に加えて「その3割に相当する金額の基金への拠出」を義務付けるというのはどうか。この基金で登録支援機関は運営し、企業利用は無料となる。代わりに登録支援機関の利用は義務付けられる。

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