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外国人就労の落とし所(5)一時的労働力と移民の軟着陸 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 ここまで連載をざっと振り返ってみよう。まず、日本は少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少に歯止めがかからない。女性・高齢者の活躍でここ20年以上はしのいできたが、参加余力は残り少なくなり、前期高齢者に関しては減少に転じてしまう。

技能実習制度と特定技能の連結が一番の得策

 こうした中で外国人労働力が次第に労働補填の主役になりつつあり、直近3カ年では50万人以上もの就労者が増加した。その経路は2つ。(1)留学生→新卒就職→永住と、(2)技能実習の対象職務拡大・受け入れ枠の拡大・受け入れ期間の延長だ。

 ただ、留学生に関しては日本語学校→専門学校というコースが増え、大学の伸びは鈍化しだした。技能実習に関しても、期間の延長(3号新設)ははかばかしい効果が出ていない。さらに、この制度は第一次・第二次産業向けで、飲食や宿泊は対象外だ。

 こんな問題が見えてきた中で、新たなる外国人受け入れ策として入管法を改正して、特定技能という在留資格を設けた。こちらは、飲食・宿泊も対象となる。技能実習の満了者にも資格が与えられる。対象の拡大・期間の延長が目論める。

 ただし、この新たな在留資格=特定技能は急繕いのために、彼らの保護・支援のための仕組みが脆弱だ。ここで新たな仕組みを作るのは、お金も時間もかかる。こう考えてくると、自ずから答えが見えてくる。結局、今ある技能実習制度に連結して、保護・支援の仕組みを転用するのが得策だろう。

技能実習制度がさらに改めるべき点

 各種試算でも特定技能資格の取得者は、半数程度が技能実習からの移行者となっている。技能実習制度がなかった宿泊業界でも、それを新設する方向で動いている。飲食もこの流れが生まれると足並みがそろい、きれいな全体像が描けるようになるだろう。

 そう、技能実習1号1年、2号2年、特定技能1号5年、計8年の滞留が可能になる。

 ただし、その前に技能実習のまだ足りない部分を改良することが不可欠だ。その点を以下に書いておく。

(1)生活衛生関連(含む飲食・宿泊)個人事業主の健保・厚生年金適用除外問題。外国人受け入れ企業に関しては義務化を強く要望したい。また、5人未満の個人事業主に関しても義務化が必要と考える。

(2)相談・苦情・通報の母国語窓口の拡充。全国100カ所に新設予定の「多文化共生総合相談ワンストップセンター」を一次窓口とし、そこから外国人技能実習機構に引き継ぐリレー方式が良いだろう。

(3)外国人技能実習機構の母国語相談はメールや電話でも対応しているが、その存在の認知広報が不足している。たとえば、月一の一斉メールなどを各国語で配信し、その中にメール・電話相談窓口を常に広報するなどの対応が望まれる。

(4)外国人就労者(実習生含む)の連絡手段の確保。緊急連絡用の携帯電話を貸与する。これにより、苦情や通報が常時可能となり、また、不適切な指導・威圧などは録音保持なども可能となる。

(5)さらなる送り出し国の不正業者排除。できれば公的機関に絞り、罰則規定(送り出し停止等)も厳しくする。

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