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都市を襲う「ゲリラ豪雨」 東京都は「見える化」で対応

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協力:明電舎

 日本列島をしばしば襲う「ゲリラ豪雨」。夏の風情といわれた夕立と違い、短時間で局地的な大雨をもたらし、下水道の処理能力を超え、マンホールから水があふれ出したり、河川が決壊するケースもある。都市部で人命にかかわる被害を引き起こすこともあり、深刻なハザードだという認識が広まっている。東京都など各自治体はゲリラ豪雨対策を強化している。

 ゲリラ豪雨という言葉がマスメディアで使われるようになったのは、1996年ごろから。「しかし気象庁や、私たちのような被害を防いだり軽減したりする立場では、『ゲリラ豪雨』という言葉は使いません」と教えてくれるのは、東京都の下水道局計画調整部の奥田千郎氏だ。

 気象庁では、単独の積乱雲が発達することによって起きる一時的・局地的に数十ミリメートル程度の雨量となる雨を「局地的大雨」、積乱雲が同じ場所で次々と発生・発達を繰り返すことによって起きて、狭い地域で数時間にわたって数百ミリの雨量が続く激しい雨を「集中豪雨」と定義している。マスメディアは、これら二つをひっくるめてゲリラ豪雨と呼んでいるのが現状だ。

 さらに「激しい雨」も定義されていて、50ミリ以上のこと。気象庁によれば、激しい雨は全国で増えていて、さらに長時間継続の雨より、短時間の雨が増えている。そして東京都でも激しい雨が増えていて、それによる被害を受けるリスクは比較的高い。「国内最大の都市」である東京都、特に23区部では、世界的に見ても都市化が進んでいて、人口、大規模な構造物が集積しており、被害を受けたときの損害が大きくなる。さらに地下街が多いことも、浸水による被害が大きくなる可能性をはらんでいる。

 そうした課題を抱えているなか、東京のような都市部は、河川の水である「外水」よりも堤防で守られた内側の土地にある水である「内水」による被害の割合が高い。そして例えば、内水の排除能力を超える大雨が降って、道路や建物が水につかることを内水氾濫という。内水氾濫の防止・軽減に重要な内水排除を担っているのが下水道であり、これに関して東京23区部の重要な対策を行っているのが、東京都下水道局である。

 下水道というと「一般の方はやはり『トイレ』、つまり生活排水などの『汚水(おすい)』をきれいな水に処理することを想起する方が多いようです」(奥田氏)。しかし道路や宅地に降った雨水(うすい)を速やかに排除して浸水からまちを守るのもまた、下水道の大きな役割であり、局地的大雨や集中豪雨からの被害を軽減するカギを握っている。

東京都下水道局による対策は、2014年に改訂された「東京都豪雨対策基本方針」などを踏まえていて、対象地域は坂下やくぼ地、地下街、河川沿いの低地など、降った雨が集まって貯まりやすい土地が中心となるなど、重点化して対策を進めている。その中には渋谷や溜池など、地名からして水のたまりやすいことが分かる土地も少なからずある。

 50ミリ以上ではなく75ミリ以上のさらに激しい雨を想定した対策として、上記の水のたまりやすい土地ということだけでなく、過去に大きな被害を受けた地域や被害が発生すると影響が大きい地下街を中心に対策を施している。75ミリ以上というと、気象庁によると「非常に激しい雨」「猛烈な雨」と呼ばれ、人は「滝のよう」「息苦しくなるような圧迫感、恐怖だ」と感じるほどの尋常でない強さの雨で、当然、傘は全く役に立たなくなる。

この75ミリ対策については、例えば世田谷区の蛇崩川の下水道管の増強管の設置など市街地4地区、地下街9地区を位置付けて対策を進めている。

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