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必然か拙速か、外国人の国内就労(3)改正入管法に4つの不安 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 「外国人就労」を心待ちするマクロ環境はあったとしても、あまりにも拙速に入管法が改正された。そのプロセスを振り返り、想定される問題を記す。

官房長官の一言から始まった 移民? 労働力?

 政府関係者によれば、特定技能創設の発端は、菅義偉官房長官に地元から「人材難で介護施設を開けない」という訴えが寄せられたことだった。調べてみると、他業種でも同じ問題が発生することがわかって安倍晋三首相に相談し、2人で新制度の創設と今年4月スタートの流れを固めたという。

 2018年2月の経済財政諮問会議で、安倍首相が「専門的・技術的な外国人受け入れの制度のあり方について早急に検討したい」と初めて表明した。その直後、内閣府で専門タスクフォースが始動、6月に経済財政運営の基本方針(骨太の方針)でその概要が示される。建設、農業、宿泊、介護、造船業を対象に、「特定技能評価試験」を新設し、合格者に最長5年の就労資格を与えるというものだった。

 夏を経て、10月12日に政府の関係閣僚会議が開かれ、法務省による入管法などの改正案の骨子が示された。ここで特定技能1号、同2号という新しい在留資格が示される。法務省入国管理局を改組し、新たに出入国管理庁を置くことも示された。

 問題はこの2号で、日本に10年以上いれば永住資格が獲得できるため、「移民政策ではないか」という批判が野党やメディアから続出。「移民ではなく労働力の受け入れだ」と、安倍首相はその打ち消しに躍起となった。

野党だけではなく、身内からも疑問百出

 2018年10月22日から26日まで、異例ともいうべき5日間の長期にわたり、この問題に対する自民党法務部会が開かれた。

 ここでは身内から、「将来、労働力が余った時、日本人との間で仕事を奪い合う事態が起こるのでは」「受け入れ体制が整っておらず、不法滞在する外国人が増える」「外国人労働者に対する、年金や医療、介護といった社会保障コストが算定されていない」といった厳しい意見が相次ぐ。

 なかでも最も窮したのが「なぜ来年の4月施行なのか」という問い。答弁役の法務省担当者が「首相と官房長官からそう言われたので作業を急いでいる」と、思わず失言をする。内情が透けて見える一場面だった。

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