誤解だらけの健康管理術

つらいスギ花粉症 産業医が教える3つの対策 健康企業代表・医師 亀田 高志

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 また、大気汚染が関係するという説もあります。アレルギーを起こす物質等の特性を抗原性と呼びますが、例えば、空気中を飛散する花粉には様々な物質が付着し、それによって、抗原性が生じやすいと考えている専門家もいます。関連して山間部より都市部に暮らす人に、花粉症が増えやすいのではないかという説もあります。

 一方で、近年は身近なものとなった黄砂によっても、くしゃみや鼻水を起こす人がいます。初春に、これがダブルパンチになる、と感じる方がいるかもしれません。ただし、スギ花粉のシーズン前であれば、黄砂はくしゃみや鼻水を、またシーズン後には結膜炎の症状を起こしやすいですが、スギ花粉症によるアレルギー症状そのものには悪影響は及ぼさないという最近の研究もあるようです。

 近年、経済産業省が主導で健康経営(R) が展開され、つい先ごろも、2019年版の大手上場企業を中心とする、健康経営銘柄の認定結果が公表され話題となりました。この健康経営では、健康問題の損失を「見える化」することが推奨されています。そのうち、勤務中に病気や症状によって仕事に集中できない状態を「プレゼンティーズム」と呼んで、課題としています。その典型例が、このスギ花粉症であると捉えることができます。

 ところで、スギ花粉症のようなアレルギーがあることは必ずしも悪いことばかりではありません。メカニズムの詳細は未だ明らかではありませんが、スギ花粉症等のアレルギーを持つほうが、免疫反応が強いお陰で、中高年層でがんや呼吸器(肺等)の死亡が少ないとする研究もあります。症状が強い方には慰めにはならないかもしれませんが、知っておいてもよい事実でありましょう。

3.労働衛生の3管理からスギ花粉症対策を

 さて、産業医や専門コンサルタントとして、日頃の講演やコンサルティングの場で、関係者の方々に「職場の健康問題は労働衛生の3管理で考える」ということをお勧めしてきました。ちなみに、この3管理とは、戦後から高度成長期に課題となってきた職業病に対する対策の考え方を示し、職場の有害要因や有害な作業から作業者を護る手法です。この3管理をスギ花粉症対策に当てはめると、完全な解消とならなくとも、ベターな状態を維持しやすくなります。

 3管理で大切なのは、作業環境から有害要因を無くす、「作業環境管理」を最優先することです。並行して、除去できない有害要因による影響を作業を工夫して少なくする「作業管理」を行います。そして、それでも防ぐことができない健康影響を、健診等を通じてチェックするという「健康管理」の順番で考えるわけです。そうすると、鼻炎等に単純にくすりだけ飲めば済むとはならないことは明らかです。

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