誤解だらけの健康管理術

つらいスギ花粉症 産業医が教える3つの対策 健康企業代表・医師 亀田 高志

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 春が近づくこの時期に、くしゃみ、鼻水に悩まされる方が少なくないと思います。鼻のかみ過ぎで痛くなったり、鼻血を出してしまうこともあります。所構わず、水のような鼻水が出てきて、マスクをつけていても、内側が汚れるなどして、困っている人も少なくないでしょう。これらは、アレルギー性鼻炎に該当します。あるいは目のかゆみが強く、涙が止まらないアレルギー性の結膜炎となります。多くの地域で2月後半から起きるこれらの原因はスギ花粉であり、スギ花粉症とも呼ばれる状態です。

1.スギ花粉症は公害?

 国民の2割を超える人が罹っているとされるスギ花粉症ですが、なぜ、これほどの人がスギ花粉症に悩むようになったのかは、あまり話題に上らないように思います。

 スギ花粉症には、行政が主導し、スギを大量に植林するようになったという背景があります。現在では、実に日本全体の森林の18%、国土の12%がスギで占められていると言われています。アレルギーの元をアレルゲンと呼びますが、言い換えれば、2月から4月はアレルゲンだらけの環境に我々は置かれることになります。

 特定の物質でアレルギーが起きるようになることを感作(かんさ)と言います。結果的にたくさんの日本人がスギ花粉に感作される機会が増えてしまったのです。

 もちろん、花粉によるアレルギー性の鼻炎や結膜炎はスギ花粉によるものだけではありません。しかし、スギは他の植物の花粉と比べて、非常に遠くまで飛散することが分かっています。正確な距離の測定は難しいようですが、その範囲は数百キロまで及ぶとされています。ですから、目に見える範囲にスギがなくとも、曝露され、感作され、症状を起こしてしまうわけです。

 そうした結果、4人に1人もの国民が春先に鼻炎や結膜炎に悩まされるようになったのです。このように見るとスギ花粉症はある種の公害に見えなくもありませんが、そうした面はあまり報道されることがない印象があります。

2.スギ花粉症が増加する背景は?

 ところで、スギ花粉が飛散すること以外に、スギ花粉症の人が増加してきた背景には、いくつかの要因が関係していることをご存知でしょうか。

 例えば、第二次大戦後、日本人の食生活が豊かになって、蛋白質の摂取が豊富になったことが挙げられます。いわゆるメタボも同様ですが、食生活が欧米化した影響と捉えることもできます。理屈上は、アレルギー反応を起こす抗体はたんぱく質でできていますから、その材料が豊富になったと見ることもできます。このことは必ずしもネガティブなことではないかもしれません。

 道路の舗装が関係しているとする説もあります。例えば、野山の環境であれば、土と合わさって定着、吸収されていたはずの花粉が、道路が舗装されることで、土中に吸収されなくなり、いつまでも空気中と舞い続けてしまうというわけです。そのことが国民のスギ花粉への曝露機会を増やしてしまったという考え方です。

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