新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

ビジネスマン出身学長、奮闘中! 「大学にも世界標準を」 立命館大学教授 西山昭彦

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なぜ大学に来たのか

 定年後は、他のところからのオファーもあった。民間に行けば、これまでと同じ経営スキルを発揮できるのでやりやすいし、待遇もいい(大学トップの年収は限られている)。それなのに、なぜ大学を選んだのだろうか。

 「40年商社マンとして仕事をしているうちに、人の育成、教育に興味を持ちだした。若い層の目の力が他国に比べて弱いと感じた。ここを何とかしたい。インターナショナルビジネスマンの体験を後輩に伝え、仕事のおもしろみ、やりがいをわかってもらいたい。たくましく生きる人間を育てたい」。その思いが他を押しのけた。経済同友会の教育部会に参加していたこともバックグランドになっている。現在、教育への思いは大学にとどまらず、横浜市教育委員として小中学校の教育政策にもかかわっている。

 神田外語大学は語学で優れる大学だが、それに加えて、リベラルアーツの強化をはかろうとしている。それを通じて、学生にものごとを論理的、批判的に考える力を身に付けてほしいと思っている。

 もちろん、長年培った経営スキルを使って、大学マネジメントの改善にも取り組んでいる。着任当時思ったのは、「商社は海外でビジネスをしているので、世界標準に合わせて会社も変わっていかなければならなかった。そういう意味で、結果的に時代に追いついている。一方、日本の大学はそうなってない。古いやり方がそのまま続いていたりする。大学の中に閉じこもっていてはいけない。外の世界にオープンでいるべきだ」

 「商社時代のスキルで役立っているのはたくさんあるが、人との関係スキルは重要だ。世界中の人と触れ合い、多様な人々とのつきあいでもまれる。人を評価する難しさの中で見る目を養う。中と外の人間関係の同時推進の重要性などは、新組織に入ってそのまま生きている」

 一般に組織のリーダーに求められるのは未来ビジョンの提示、構成員との対話と共有、実行管理、評価になるが、宮内さんは商社でこれを何回も経験してきた。その経験値があるので、大学組織の特性に合った方法をとることで大きな成果が期待できる。

神田外語、教員も多国籍

 神田外語を知らない人はいないだろうが、少し紹介しておくと、「あらゆる世代の人に、言葉と文化を学ぶ場を生涯にわたって提供し、学んだことを活かして活躍するための支援をする」という信念のもと、幕張の大学・大学院や神田の専門学校、社会人を対象とした語学・ビジネススクールをはじめ4つの教育機関と3つの関連企業を運営している。

 神田駅を降りると、徒歩1分の周辺にたくさんのビルで学校を展開しているのがわかる。これだけの一等地、すべて自社ビルだそうで、隠れた不動産オーナーでもある。

 大学部門である神田外語大学の強みは外国人教員の多さだ。その数は立命館大学、大阪大学についで全国3位である。また、イギリスの大学評価誌Times Higher Educationとベネッセの調査によると、THE世界大学ランキング日本版国際性で、全国15位にある。国際的という点で、大学として外部から高く評価されていることがわかる。

 筆者は20代後半でイギリスに留学したが、学部時代に英語をもっとやっていなかったことを強く後悔した。若い脳の時にどっぷり英語に浸ることが選択肢を増やし、その後の人生の幅を広げることは間違いない。早くグローバルなものにふれることが、世界観の形成に役立つ。世界観ができると、様々なことに独自の見方ができ、対処法も見えてくる。

 学生が語学の習得を通して言葉を越えて問題解決力を身に着けることは、学校法人の佐野元泰理事長の考えである。それがあれば、次の時代をたくましく生きていくことができる。

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