新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

「年収1千万円、役員候補急募」~政府も人材の地域企業転出を後押し 立命館大学教授 西山昭彦

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 これまでミドル、シニア人材の社外への転出と活躍について様々な観点から述べてきた。国はそれらの動きをどうとらえているのか、そしてどういう手を打っているのか。実は、すでにミドルの外部での仕事開拓に力を入れている。今回はその実態を探ってみた。

プロフェッショナル人材事業

 これは内閣府の事業で、「地域に新たな質の高い雇用を生み出し、人と仕事の好循環を創出していく」ことを目的としている。そのため2015年12月、各道府県にプロフェッショナル人材戦略拠点を設置し、地域の企業が事業革新や新商品開発など攻めの経営への転身を図っていくのを支援し、それを実行するプロフェッショナル人材活用をサポートしている。

 プロフェッショナル人材戦略拠点では、知事が任命したマネジャーの下、地域企業のプロ人材のニーズを掘り起こすコーディネーターが企業を廻り、求人があれば、提携している民間人材ビジネス事業者に取り繋いでいる。それで面談が成立し、転職が決まれば成約となる。求職者から見れば、一切費用はかからない上に、企業との間に公的な組織が入ることで、客観的な支援を受けられる。転職時の安心感が一般の転職とは違う利点だ。

京都の地域拠点では

 全県にプロフェッショナル人材戦略拠点があり、その中の京都府の拠点を訪ねてみた。丹波口駅を降りると、卸売市場がある。その次のブロックに、デザイン性のあるビルがたくさん建っている。京都リサーチパークという産学公連携拠点・新産業創出拠点で、その一角にある公益財団法人京都産業21の中に、本事業を行っている京都中小企業事業継続・創生支援センターの事務所がある。

 この京都リサーチパークは、全国初の民間運営によるリサーチパークで1989年にオープンした。創造的な研究開発環境やサービス提供を通じて、新分野を切り開く企業を支援し、地域の産業発展・活性化や大学・研究機関との交流・連携を進めている。プロフェッショナル人材事業の趣旨にぴったりの場所といえる。

 京都の体制はコーディネーターが4人いて、企業を回り人材ニーズを探っている。4人は銀行支店長経験者はじめいずれも民間企業管理職OBである。それまでに企業との長年の経験があり、経営について熟知しているので、この仕事に適任といえる。若い人では、先方経営者の信頼もそこまでは得られないだろう。

 それでは、年間どのくらいの企業から求人案件をとっているのだろうか。1年間で、160件の相談があり、転職の取次実行が68件、成約は23件である。うち製造業が16件で最多だ。意外に成約が少ないと感じるかもしれないが、全国で同じ事業が行われており、累積成約件数は数千件になる。それだけの人がこの制度で有望な地域企業に転職しているのは、ご本人の職務満足度の向上に加え日本経済の活性化のための大きな力である。

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