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中国の天下は続かない(上)雇用と教育からみた「急成長の歪み」 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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日本人並みの所得層はたった6.6%

 まず、中国の国力を最初に示しておこう。経済規模を比較するのに一般的なGDP(国内総生産)の規模でみると、米国(19兆3906億$)についで、12兆146億$で中国は世界第2位。3位は4兆8271億ドルの日本だが、中国の経済規模はその約2.5倍にもなる。とここまで見れば、世界2強の一角を占める中国と、大きく水をあけられた日本という構図になるが、現実は少々異なる。

 中国の人口は約13億9000万人で、約1億2500万人の日本の11倍にもなる。人口が11倍で国力が2.5倍ということは、個人レベルの所得はとても少ない。GDPを人口で割った一人当たりGDPで見れば、日本が3万8439ドルなのに対して中国は8643ドルと、5分の1程度でしかないのだ。

 一体、中国の労働者のうち、日本人並みの給与をもらっている人の割合は、どのくらいなのか。

 経産省の推計(Euromonitor Internationalが原典)によると、2015年時点で先進国並み(年収3万5000ドル以上)の所得を得ている人は、全体の6.6%となる。年収1万5000ドルと日本人の4割程度の水準にまで広げても、その割合は24.7%にしかならない。国全体を眺めて、人々の生活を語るなら、まずはこの当たり前の数値を念頭に置いて考えてほしい。

 私たちが日常的に目にしている爆買い中国人観光客はほんの上位数パーセントのリッチ層であり、欧米のトップ大学に進学して初任給1300万円などで雇われている人はさらにそのまたほんの一握りでしかないのだ。

 それでも14億人もの人がいる中国では、こうしたハイパー人材だけでも数十万人となってしまう。だからマスコミには彼らのエクセレントな生活・キャリアの情報が多々、流れる。

 それで、僕らは、ほんの一握りの裕福中国人が向こうの標準だと勘違いし、彼らと比較して、「今の日本人は」と焦りを感じるのだ。

 一方で、先ほどの経産省推計にしたがえば、中国では年収1万5000ドル(165万円)未満の人たちが就労者の75.3%であり、うち、5000ドル未満(55万円)の絶対貧困層が32.6%もいる(前出の経産省試算)。だからこそ、来日して最低賃金で技能実習をしたり、流通・サービス系の店舗でバイトをしている中国人留学生が大量にいるのだ。

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