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中国の天下は続かない(上)雇用と教育からみた「急成長の歪み」 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 今や、世界は米国と中国の二極体制になりつつある。とりわけ、先端ハイテク領域で中国および中国企業の伸長は著しい。

最先端の中国と現実の中国。中国とはどのような国なのか

 スマホの出荷台数でみると、2018年第2四半期には、中国の華為技術(ファーウェイ)が米アップルを抜き、堂々2位となった。それも僅差でのしのぎあいではなく、ファーウェイ5420万台に対してアップル4130万台と大きく水をあけており、1位のサムスンの背中が見えたほどだ。しかも、3位には小米(シャオミ)、4位にはOPPO(オッポ)、5位には中興通訊(ZTE)と中国企業が連なる。

 自動車産業でも同様だ。中国内の販売台数だけでも、2017年には中国地場メーカー合計で1087万台と大台を超え、トヨタ自動車のグループ世界販売台数を抜いた。

 こうした産業を支える大学の研究でも、すでに中国はアジアNo1となっている。2018年の大学ランキングでは日本の大学では東大が46位でトップ。対して中国は、北京大27位、清華大30位、香港大40位、香港科技大44位と、東大より上位に4校もランクインする。

 まさに昇竜の勢いつきるところなしといった状況だ。こんな調子だから景気の良い話にもことかかない。

 日本中の観光スポットには中国人観光客が溢れ、繁華街では羽振りの良い爆買いが目を引き、銀座や新地などの高級名店で大枚をはたく中国人ビジネスマンにももう慣れた。

 就職、転職などの話でも、驚くようなニュースが飛び交っている。

 ファーウェイでは日本の理系大学新卒者の初任給が40万1000円。転職エージェントには、中国メーカーから年収1500万円以上の中途採用求人が多数寄せられ、国内メーカーからの転職で年収が2倍近くにはね上った人の話を普通に耳にする。

 中国本国では、米マサチューセッツ工科大学(MIT)やカーネギーメロン大学の卒業生を、なんと初任給80万元(約1300万円)で向かい入れるという話まで飛び出した。

 まさに世界は文字通り中華思想(中国が真ん中に華として座す)が実現したかのようだ。

 ただ、その一方で全く違う中国の一面にも、僕らは日々接している。

 最低賃金ギリギリで過酷な就労を強いられ問題が多発する技能実習生は、今でも中国人がベトナム人についで多く、全体の4割近くを占める。街中のコンビニや飲食店でも中国人バイトを見かけない日はない。偏差値40にもならない日本の大学に大量に留学し、バイトに明け暮れた後、新卒で家電量販店やディスカウントストアに大量に就職しているのも中国人だ。

 そう、中国は2つの顔を持っている。最先端で世界を牛耳る一方で、いまだに貧しく厳しい生活を余儀なくもされる。これからしばらく、現地取材とデータなどから、「雇用」を中心にその真の姿を考えていくことにしよう。

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