ニッポンのインフラ力

先行する横浜市のスマートシティ化 分散型電源などで官民連携

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協力:明電舎

 持続可能な社会という大きなテーマに挑むため、世界中でスマートシティ化への取り組みが実施されている。日本でいち早く取り組んできた一つが、基礎自治体としては国内最大の373万の人口を擁する横浜市だ。その発端は、2009年に同市に「温暖化対策課」が設置されたことだ。これは、環境省が温暖化対策の推進を始めたのとほぼ同じタイミング。同課を立ち上げることができた。さらに当時の中田宏市長の指示で、従来の局や課とは違う、特定のプロジェクトを担う「本部」制度が出来上がり、温暖化対策統括本部を設置。温暖化対策に専門に取り組む部局ができた。

 2010年には経済産業省からスマートシティ化を推進する「次世代エネルギー・社会システム実証事業」の公募がかかり、横浜市を含む4地域(愛知県豊田市、けいはんな学研都市、福岡県北九州市)が選定された。岡崎修司・横浜市温暖化対策本部プロジェクト推進課長は「経産省の公募の前に組織が整っていたことと、コンサルティング会社に委託して『横浜市のスマートシティ化の可能性』を調査してもらったことで、その後のスマートシティ化への対応がしやすかった」と振り返る。

 次世代エネルギー・社会システム実証事業において、横浜市の取り組みは「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」と名付けられた。YSCPには東京電力や明電舎など複数の民間企業も参画している。特に期待されたのは、既成の市街地で進められるスマートシティ化だ。そこでCEMS(Community Energy Management System、地域エネルギー管理システム)を軸に34社と共に15プロジェクトを5年間にわたって実施した。その結果導入できたのは、HEMS(Home Energy Management System、家庭用エネルギー管理システム)4200世帯、PV(太陽光発電)37メガワット、EV(電気自動車)2300台。CO2削減は約4万トン、CO2削減率29%と、いずれも目標を上回る高い実績となり、国内最大の取り組みとなった。

 2010年からの5年間のプロジェクトのなかで変化が起きたのは、2011年に東日本大震災が発生したことがきっかけだった。この影響である発電所の稼働率が低下し、それを機に電力使用量の最大値を抑える「ピークカット」と、電力使用量の最大値の時間帯をずらす「ピークシフト」にも取り組むようになった。

 これを実現するために導入したのが、「デマンドレスポンス」と呼ばれる取り組みだ。HEMSやPVを導入してくれて実験に参加してくれる住民にメールで、「この時間帯は電気を使わないで」と依頼をかけ、どうしたらそうした希望の通りに行動してくれるのかを探った。「電力が逼迫しそうな時間帯の電気料金を大幅に引き上げると、その時間帯の使用量も大幅に減ったことが実証できた」(岡崎課長)という。

 一方、BEMS(Building Energy Management System、ビル用エネルギー管理システム)としては、みなとみらい地区のビルに参加してもらった。それらのビルに入居している各企業に対して節電料に応じて電気代を下げ、さらにインセンティブを支払うと、デマンドレスポンスはHEMSよりも高い効果を確認できた。「家庭よりも企業の方が組織だって行動するのが要因でしょう」(岡崎課長)。こうした電気料金の優遇は、経産省の5年間のプロジェクトの後も続けているという。

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