働く女性 ほんとの格差

セクハラ上司に「働く意欲」失った独身女性、しかも人事評価が急降下 石塚由紀夫

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(4)立ちはだかる「おっさん型社会」の壁

 働く女性で、「職場の女性活躍推進を実感できている」のはたった2割弱? 一体何が彼女たちの行く手を阻んでいるのか。家庭とのバランスに悩むワーキングマザー、子育て優遇にモチベーションを下げる独身女性、非正規社員や専業主婦のジレンマ、立ちはだかる「おっさん型社会」の壁など、日経編集委員が実態を浮き彫りにし、女性社員の力を生かすための処方箋を示す。

※連載「働く女性 ほんとの格差」は全6回です。同じ連載の各記事はこちらから
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セクハラ上司にモチベーションダウンした独身女性

 「仕事は好きです。責任ある仕事をしたくて管理職になりたいとも思っていました」。大手企業で課長を務める山崎ヨシコさん(仮名、40代前半)は声のトーンを落として話し始めた。新任管理職に仕事への意気込みを聞く目的で彼女を紹介してもらった。これまでの担当業務を一通り聞いた後だった。今後どんな仕事をしていきたいのかと問いかけたら、話題は予期せぬ方向に転換した。

 「でも今は会社に行くのも面倒くさい。シングルだし、生活には困らない。そこそこ給料がもらえるなら、努力して会社に貢献するのもバカバカしいと思ってます」。入社から20年。モチベーションダウンの原因は上司のセクハラだ。

 90年代後半に一般職として採用された。大学で仲がよかった友達も就職活動では全員が一般職志望だった。「どんな働き方がしたいのか、特に深く考えませんでした。女子は一般職だよね……そんな周囲の雰囲気に影響されたのかもしれません」

 入社後の配属は支店の営業部門。本社でのんびり事務職をするつもりだったので、あてが外れた。営業なんて自分にできるのだろうか? 新人研修が終わり、配属先を聞いたとき、不安になった。

 だが実際に支店で働き始めてみると、営業職は意外と性に合った。

 同じ営業職といっても女性一般職は男性総合職ほど責任が重くない。すでに取引実績がある顧客を担当し、定期的に営業をかけるのがメーン業務だ。山崎さんは持ち前の人当たりのよさで顧客に気に入られ、次々と契約を取った。信頼関係を築くにつれ、顧客から様々な相談を受けるようになった。契約条件の調整が必要となる複雑な案件は男性営業職が担当する。ある程度、要望を聞き、必要とあれば男性営業職に引き継いだ。

 「そんなことが何回かあって、だんだん欲が出てきました。男性にいちいち引き継がなくても、私ももう少しできるんじゃないかって。営業は頑張れば頑張っただけ数字で返ってくる。だったらもっと大きな案件を扱ってみたいと思うようになりました」。上司にお願いし、早々に総合職に転換した。

 20代でいくつかの支店を経験し、30代に入ると本社で新規ビジネスの立ち上げに携わった。顧客を奪ったり奪われたり。同業他社との競争は営業に付きものだ。「勝っても負けても、結果が明確な営業の仕事は緊張感があって楽しかった」という。

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