働く女性 ほんとの格差

「女性活躍ブーム」は迷惑? 子育てとキャリアの両立は難しい 石塚由紀夫

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 それに職場で管理職の働き方を観察してみると、いつも夜遅くまで働いている。帰宅後や土曜・日曜もスマホを手放さず、メールをチェックし、必要なら返答もしているようだ。現在短時間勤務中の樋口さんの働き方とはかけ離れていて、同じようには働けない。

 「私の上司は妻が専業主婦。家事・子育てもほぼ任せっきりだと聞きます。時間の制約もなく働いている男性にはワーキングマザーの大変さが実感できないんだと思う。『上を目指せ』と簡単に言いますが、それがいかに難題かが分かっていません」と樋口さんは指摘する。

 結婚・出産しても女性が働き続けられる環境整備は今まで以上に進んだ。経営規模や業種などで差は残るものの、大手企業を中心に就業継続は当たり前のライフコースになってきた。ただ、問題はその先だ。

 働き続けることが可能になっても、管理職昇格に挑んだり、専門能力を存分に発揮しようとするには、いくつも高いハードルが待ち構えている。

 仕事と子育ての両立が可能になっても、仕事とキャリアアップの両立は今も難しい。高いハードルを飛び越える自信がなく、立ち止まっているワーキングマザーは、第三者からみると子育て支援制度に甘える”ぶら下がり社員”のように映る。だが、彼女たちは制度に甘えたいわけではなく、飛び越えようにもその一歩が踏み出せない家庭の事情を抱えている。

※連載「働く女性 ほんとの格差」は全6回です。同じ連載の各記事はこちらから
石塚由紀夫著『働く女性 ほんとの格差』(日本経済新聞出版社、2018年)「第3章 事情はそれぞれ……孤立無縁なワーキングマザー」から
石塚由紀夫(いしづか・ゆきお)
日本経済新聞社編集委員。1964年新潟県生まれ。早稲田大学卒。1988年日本経済新聞社入社。日本経済新聞では少子高齢化や女性のライフスタイル、企業の人事制度などを主に取材・執筆。2015年法政大学大学院MBA(経営学修士)取得、修士論文のテーマは女性管理職のキャリア意識とその形成要因。男性初の女性面編集長を経て、2016年より編集局経済解説部編集委員。著書に『資生堂インパクト』。

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修

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