働く女性 ほんとの格差

産んだ者勝ち? 繁忙期の時短勤務中に「ママ友とカラオケ宴会」 石塚由紀夫

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(2)産んだ者勝ち? 子育て優遇にうんざり

 働く女性で、「職場の女性活躍推進を実感できている」のはたった2割弱? 一体何が彼女たちの行く手を阻んでいるのか。家庭とのバランスに悩むワーキングマザー、子育て優遇にモチベーションを下げる独身女性、非正規社員や専業主婦のジレンマ、立ちはだかる「おっさん型社会」の壁など、日経編集委員が実態を浮き彫りにし、女性社員の力を生かすための処方箋を示す。

※連載「働く女性 ほんとの格差」は全6回です。同じ連載の各記事はこちらから
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時短勤務中にママ友とカラオケ宴会?

 「短時間勤務中の彼女の発言を聞いた瞬間、職場が凍りつきました」

 消費財メーカーに勤務する木谷ミカさん(仮名、30代)は、怒りが収まらない様子で明かしてくれた。所属は営業部門、約20人の職場だ。男女比はほぼ半々。外回りで契約を取ってくるのは主に男性社員で女性はほとんどが営業事務。契約書の作成や、受発注業務、顧客のフォローなどを内勤で担当する。

 問題の彼女はほぼ同い年のアラサー世代。20代で結婚して出産。育児休業から戻った後は、子どもを保育所に預けながら仕事を続けている。育児との両立を考えて、所定労働時間を2時間短縮し、午後4時には退社する。人手不足の昨今は短時間勤務者がいても会社は人員を補充してくれない。結果的に短時間勤務中のワーキングマザーの仕事は、木谷さんら同僚の女性社員が分担してカバーしている。

 営業部門にとって3月と9月の半期末は売上高が計画通りに達成できるか否か大事な時期だ。課長は檄(げき)を飛ばし、ノルマに達していない営業マンは有望な顧客をまわり、追い込みをかける。残業も増える。

 それは内勤の女性社員も同じだ。売上を月末までに計上しようと、契約書の作成を急ぎ、商品在庫があるか、発送が間に合うかなどを関係部門と調整する。月末が近づけば近づくほど、職場は慌ただしくなってくる。

 事件は半期の締めとなる9月下旬の朝に起きた。

 「昨日はすごく、楽しかった。ママ友との飲み会があったんですよ。子どもはパパたちに預けて、2次会ではカラオケを大合唱しちゃいました」と、出勤してきた彼女は席に着くや、あっけらかんと報告を始めたという。

 多くの同僚は前日も残業、夜9時過ぎまで働いていた。残業続きで疲れもたまっていた。いつもなら子どもの成長話や保育所での出来事などを面白おかしく話す彼女に相づちを返す同僚らも、このときばかりは誰も言葉を返さなかった。

 皆、大人だからその場はさりげなく、やり過ごした。だが、夕方になって彼女が帰宅すると、朝の出来事をこぞって話題にした。特にシングル女性の口調は厳しかった。「あんたのカラオケのために私たち残業してんじゃないよ」「せめて『おかげさまで昨晩はリフレッシュできました。ありがとうございます』くらい言えないかね」と非難ごうごうだったという。

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