働く女性 ほんとの格差

女性管理職の憂鬱~突然「次長に昇格」、するとパワハラを訴えられて 石塚由紀夫

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 ただ、松沢さんはまだ心にしこりを残したままだった。

 「このとき部長に『部下のマネジメントは難しいが、管理職の重要な役割。そのくらいは今までの仕事で身に付けていなくちゃ、ダメだよ』と諭されたんです。反論はできませんでしたが、でも私は今までの仕事で、リーダーシップというんですか、人を束ねるような役割を任されたことはありません。どうすればいいのか分かりません」

 一番ショックだったのは、その若手女性が「以前はやさしい先輩だったのに、次長になったとたんに、人当たりがきつくなった」と話していたことだという。

 「自分ではその気はなかったのですが、役付きになって、肩に力が入っていたのかもしれません。悩んでいるようなので話を聞いて相談に乗ってあげている気でいました。能力も経験もないのに、次長らしく振る舞わなくちゃ、期待に応えなくちゃ、といった気持ちが空回りしていたのかもしれない」

 今も松沢さんは次長を務めている。ただ後輩への助言はやめた。部長を交えて当事者間では解決した問題だが、職場の同僚や後輩も噂くらいは聞いている。ちょっとした助言もパワハラと受け取られると困る。

 「なんか、あれから後輩の女性たちの私への接し方がどこか空々しくて。前みたいに気軽にランチも誘ってくれない」と寂しそうに笑った。

※連載「働く女性 ほんとの格差」は全6回です。同じ連載の各記事はこちらから
石塚由紀夫著『働く女性 ほんとの格差』(日本経済新聞出版社、2018年)「第1章 ガラスのハイヒール――女性管理職の憂鬱」から
石塚由紀夫(いしづか・ゆきお)
日本経済新聞社編集委員。1964年新潟県生まれ。早稲田大学卒。1988年日本経済新聞社入社。日本経済新聞では少子高齢化や女性のライフスタイル、企業の人事制度などを主に取材・執筆。2015年法政大学大学院MBA(経営学修士)取得、修士論文のテーマは女性管理職のキャリア意識とその形成要因。男性初の女性面編集長を経て、2016年より編集局経済解説部編集委員。著書に『資生堂インパクト』。

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修

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