働く女性 ほんとの格差

女性管理職の憂鬱~突然「次長に昇格」、するとパワハラを訴えられて 石塚由紀夫

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 発令の前に部長から内々に打診があった。予想外の昇格話に戸惑う松沢さんに部長はこう説明したという。「会社の方針が変わり、これからはウチも女性に活躍してもらいたい。松沢さんは社歴も長いし、経験や知識も豊富だから、できると思うんだ。次長になるからといって顧客を担当して外に出ろとはいわない。今まで通り、内勤で力を発揮してくれればいい。後輩女性の模範となるように、女性社員のまとめ役を果たしてほしい」

 それならできるか……断れる雰囲気でもなく、その場で内諾した。給料が上がるであろうことは楽しみだったが、それ以外は特別な感慨もなかった。後日、正式に昇格辞令が出た。

パワハラ被害を訴えられて

 今まで通りでいい―部長の言葉通り、次長になっても仕事内容はほとんど変化がなかった。経営に関する管理職向けの報告が回ってきたり、参加する会議が増えたりした程度だ。ただ、行動は自ら少し見直した。「後輩女性たちのまとめ役に」という期待に応えようと、年下の女性社員に積極的に声をかけ、仕事の進め方などを助言するように心掛けた。これが後に波紋を呼ぶ。

 「松沢さん、ちょっといいかな」。昇格から半年以上経ってから、部長に会議室に呼ばれた。若手女性の1人が「松沢次長にパワハラを受けている」と社内の相談窓口に訴えたという。

 「パワハラなんて大げさですが、思い当たるフシはありました」。ケアレスミスを繰り返す後輩がいて、何度も注意した。どうすればミスがなくなるか。経験で学んだ自分なりのコツもある。それをやってみたらと彼女に話していた。「でも助言を試している様子もないし、相変わらずミスは多いまま。注意する回数は増え、だんだん口調がきつくなっていたかもしれない」

 部長も、松沢さんが一方的に悪いわけではないと、おおよその状況は理解していた。うまく取り持ってくれたようで、社内で表立ってパワハラ案件として扱われることはなかった。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。