働く女性 ほんとの格差

女性管理職の憂鬱~突然「次長に昇格」、するとパワハラを訴えられて 石塚由紀夫

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(1)ガラスのハイヒール――女性管理職の憂鬱

 働く女性で、「職場の女性活躍推進を実感できている」のはたった2割弱? 一体何が彼女たちの行く手を阻んでいるのか。家庭とのバランスに悩むワーキングマザー、子育て優遇にモチベーションを下げる独身女性、非正規社員や専業主婦のジレンマ、立ちはだかる「おっさん型社会」の壁など、日経編集委員が実態を浮き彫りにし、女性社員の力を生かすための処方箋を示す。

※連載「働く女性 ほんとの格差」は全6回です。同じ連載の各記事はこちらから

会社の方針で突然、次長に昇格

 「なんか今、職場で浮いちゃってるんですよね」

 松沢ユウコさん(仮名、50代前半)と話したのは、女性管理職らが参加する懇親会場だった。1980年代半ばに就職したアラフィフ世代。男女雇用機会均等法が施行される直前に入社した。今のように女性が働きやすい職場環境ではなかったが、結婚・出産を経てもずっと同じ会社に勤務してきた。それはキャリア志向が強かったからではない。

 「結婚したときも子どもを産んだときも辞めなかったのは、会社から退社圧力がなかったし、夫も特段反対しなかったら。実家の協力で子育ても乗り切れたし、辞める状況に直面しなかっただけ」と控えめに説明する。

 入社は事務職。ずっと職場で事務を淡々とこなしてきたという。とはいえ話を聞く限り、仕事は二の次というタイプでもないようだ。ここ30年、デジタル化の波は著しい。入社当時、職場には紙の書類があふれていたが、今はほとんどがデジタル化されている。アナログからデジタルへ。段階的に行われてきた切り替え期には経費精算や契約書の保管・管理など煩雑な作業を漏れなく仕上げ、同僚や上司の信頼も得てきた。ビジネスの前線に出るわけではないが、社内の手続き全般に精通していて、困ったときは頼りになる――松沢さんはそんなタイプの女性だ。こうした役回りに不満はなく、自然体で気持ちよく働いてきた。

 そんな松沢さんにも女性活躍推進の風が吹いた。2016年に次長に昇格した。

 「それまでは係長。係長の上が次長なので、肩書だけみれば自然な昇格人事。でも、だいたい私と同じ仕事をしている女性はこれまで係長が上限。それも年功序列で形式的に昇格するだけで、男性社員のように係長らしい責任や仕事を負わされはしなかった」

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