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グーグル・アマゾン・マイクロソフト…テック企業に「モノ言う社員」 編集者・ジャーナリスト 瀧口範子(シリコンバレー在住)

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 その数日後には、アマゾン社員400人の署名入りで同社の顔認識技術を警察に提供するべきではないという文書が、ジェフ・ベゾスCEOに提出された。また、ICEへデータ分析技術を提供するパランティア社を、同社クラウドサービスのAWSから追い出すべきだとも主張している。この文書は18年10月に公開され、本社前でデモも行われた。顔認識技術は監視社会につながると警告する。

 セールスフォースでも同様の動きがあった。やはり、税関・国境警備局に対するサービス提供を停止せよと650人が署名した。「平等を標榜するわが社の価値観が危ぶまれている」としている。

 これを受けてマーク・ベニオフCEOは、移民の人権保護と避難民援助の活動を行うNPOへ25万ドルを寄付しようとしたが、PRに利用されることはごめんだと同団体に拒否されるという顛末に終わっている。

テック企業、成熟化が背景に

 さて、ここへ来てなぜテック企業でこうした抗議が起こっているのだろうか。そこには様々な要素の合流が見られる。

 一つは、テック企業の成熟だ。一般消費者や企業向けに技術を提供してきたテック企業は、今や大規模なビジネスを展開し、その相手として政府関係機関も含まれるようになったということだ。

 ことに軍事関係では、社員の抵抗が大きい。グーグルでは18年4月に3000人以上のグーグル社員が「プロジェクト・メイヴェン」に反対する嘆願書に署名した。同プロジェクトは、ドローンのカメラが捉えた映像を解析するAIを含み、人をターゲットにして殺傷も可能だ。契約の規模について正確な説明がなかったこともあり、主要なエンジニアらが仕事を拒否。これが決め手になって、グーグルは19年の契約更新を行わないと決定している。ただし、戦争には関わらないが政府や軍の受注は継続する方針だ。

 また18年10月半ばには、グーグルとマイクロソフトの社員が、国防省のためのクラウドコンピューティング・サービスの入札を阻止しようとした。AIを統合した軍事データのストレージに関するもので、殺傷力を強めるのが目的と言われる。グーグルは入札から撤退したが、マイクロソフトは姿勢を変えていない。

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