誤解だらけの健康管理術

お酒が「本当に怖い」のはγ-GTPじゃない? 健康企業代表・医師 亀田 高志

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 2003年の全国調査によると、多量飲酒は860万人、アルコール依存症の疑いのある人は440万、アルコール依存症患者は80万人と推定されています。飲酒運転で事故を起こした人が報道されることが少なくありませんが、日本全体でのアルコールによる社会的なインパクトは想像を絶するほどでしょう。

 アルコールによる職場や仕事への影響は大きく、勤怠不良、労災事故から自殺まで、幅広い問題が知られています。ちなみに、メンタルヘルス不調を持つ働く人が、アルコール乱用や依存の傾向と両方持っていることがあります。そうすると治療の経過が悪く、職場復帰が困難になってしまうことも少なくありません。

適量という名の罠

 世の中には「酒は百薬の長」という名文句があって、ある程度の量の飲酒は身体に良いと信じられている節があります。あるいは「適量を守る」という習慣を勧める向きもあります。多量飲酒とは区別して、1日20グラムまでの「節度ある適度な飲酒」とされています。ところが、この適量というのがなかなか曲者です。

 まず、適量という言い方を、「程好く酔う」という印象で捉えている人がいないでしょうか? 大酒家であれば、ビールの大瓶の2~3本は準備体操くらいの感じかもしれません。けれども、医学的な適量とは、ビールであれば中ビン1本、日本酒は1合、25%焼酎100mlまでです。

 さらに難しいのが、1日20グラムの純アルコールでも、毎日飲み続けていると、精神的な依存が始まることです。いわば、お酒がないと口さびしく、禁断症状は出ませんが、気がつくとお酒を口にしている状態です。だんだんと身体的な依存が進み、本格的なアルコール乱用やアルコール依存に陥ることになります。

 無事に定年を迎えたものの、仕事以外にすることがなく、地域での人間関係が乏しい場合は危険です。孤独であったりすると、お酒を飲むしか楽しみがないと感じる人もいます。そうすると、豊かであるはずの老後が、アルコール乱用や依存症でめちゃくちゃになってしまいます。

 職場では、「週1日の休肝日を設けましょう!」と保健指導や啓発がしばしば行なわれてきました。けれども6日連続して飲んで、7日目だけお酒を飲まないのは精神的な依存に立ち向かうことになり、長続きしないものです。また、1日1合までと思っても、アルコールには依存を助長する作用がありますから、1日1合が2合、3合と増えていってしまうのです。

いつまでも元気で楽しめる飲み方は?

 ここに挙げたようなアルコールの健康影響や様々な問題を読むと、「お酒は好きだけれど、一体、どんな風に飲めばよいのだろう?」と困ってしまうと思います。

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