誤解だらけの健康管理術

お酒が「本当に怖い」のはγ-GTPじゃない? 健康企業代表・医師 亀田 高志

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 何かと酒席の予定が入り、忙しい人も少ないことでしょう。一方で、飲みすぎは肥満やメタボを進めてしまうし、定期健康診断の肝機能検査はどうかと気にする人も少なくありません。けれども、お酒の怖さを本当に理解している働く人は少ないというのが、健康管理に携わってきた実感です。

アルコールは「がんの原因」である

 タバコの害は働く人だけでなく、国民全体の知るところとなりました。飲食店内の喫煙が問題視され、国際的な潮流もあり、東京オリンピックの際にどのように取り扱うのかについて、政治マターになるくらいです。過去には当たり前であったテレビや新聞のタバコのコマーシャルが姿を消したばかりか、恐ろしい健康影響が明示されるようになりました。

 ところが、同じレベルの健康影響、あるいはそれ以上の問題につながるアルコールは今のところ、無罪放免のようです。メディアを通じて、ビールや焼酎の宣伝がどんどん流れ、見栄えの良い俳優さんやタレントさんたちが、豪快な飲みっぷりを披露しています。

 アルコールの健康影響は肝機能障害以外には、“がん”の問題があります。例えば毎日、日本酒で3合以上飲む人はがんになる確率が1.6倍に増える可能性があります。また、死亡する確率では、2日に1合程度、飲む人が一番小さく、毎日2合以上から4合以上になると2倍から3倍に増える可能性もあります。こうした傾向は近年、日本で増加が指摘される大腸がんでも同じです。また、お酒は食道がん、肝臓がん、乳がんに罹りやすくしてしまうことが知られています。

身を滅ぼすお酒の害

 がん以外には、毎日の飲酒で後々、眼や腎臓の問題を起こす糖尿病と、後遺症を残す可能性のある脳梗塞や脳出血も増えると考えられています。では、肥満やメタボ、脳卒中とがんだけが問題なのかというとそうではありません。職場の健康管理でしばしば問題となるのは、メンタルヘルス不調と同じように、「アルコール依存症」に陥る人が後を絶たないことです。

 アルコール依存症は、いわば脳がアルコール無しではいられなくなってしまった状態で、最終的には、飲みっぱなしとなり、これを「連続飲酒発作」と言います。そうなると、仕事を失い、家庭や日常生活をも台無しにしてしまいます。

 この依存症の前段階は「アルコール乱用」と呼ばれ、健康に影響が出ている、あるいは社会生活に影響がでているのにお酒が止められない状態が続きます。その乱用につながるのが、1日60グラム以上の純アルコール成分(ビール中ビン3本、または日本酒3合、または25%焼酎300ml以上)を飲む「多量飲酒」です。

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