ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの挑戦

USJ、「クリスマスの価値」を高める競合戦略 USJマーケティング・ディレクター 兼 個人投資家 秋山 哲

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 また、近年増加しているアジアを中心とした海外からの訪日客にとっては、国内の自然や文化施設も私たちの競合相手になります。このように時期や消費者によって競合相手が異なりますが、誰に対して価値を提供し、誰に対して価値を差別化するのかの見極めが重要になります。

 時節柄、私たちが現在提供しているシーズナル・イベントの「ユニバーサル・ワンダー・クリスマス」を例にあげて説明をしていきます。

市場は「大きく、意味のある軸」で分ける

 2013年、私たちにとっての日帰り圏内(片道3時間でUSJに来場できる地域)におけるクリスマス・レジャー市場(客数ベース)のシェアはトップでしたが、市場規模は数年に渡って横ばいの状況にありました。この状況で私たちはシェアの拡大ではなく、市場自体を大きくして集客・売上を拡大させることを選択しました。つまり、新たな価値を創出して市場規模を大きくするチャレンジな課題設定をしたのです。

 私たちはまず、市場を「最も大きく、意味のある軸」でセグメンテーションしました。私たちが提供している価値は感情的な便益です。たとえば、今年で8年連続ギネス認定の「世界一のクリスマス・ツリー」は高さ約36メートル、電飾数約58万個と圧倒的に大きくて、無数に輝く宝石のように綺麗ですが、これらは機能的な価値です。私たちがゲストに提供している本質的な価値は、「世界一の光のツリー」を体験した時の「感動」なのです。ゲストは世界一のツリーを見に来るのではなく、それを見た時の感動を得るために来場しているのです。

 当時、日帰り圏のクリスマス市場においては、実際にクリスマス・レジャーをしているか否かに関わらず、クリスマスに興味がある層の7割がクリスマスを通じて「光のある空間に包みこまれて感動したい」というニーズがありました。残りの3割は「サンタクロースなどを含めたクリスマスらしい雰囲気の中ではしゃぎたい」というニーズでした。私たちはまず、7割の感動を求める層(「感動シーカー」)をターゲットに、市場規模を拡大させることにしました。

 私たちが競合市場をセグメンテーションした軸は「価格」と「感動」でした。この点については次回に詳しく説明します。(連載の続きはこちらから

秋山 哲(あきやま・さとし)
1973年群馬県生まれ。中学校卒業後に大工として働き、19歳の時に大学入学資格検定を取得。21歳で渡米しニューヨーク大学商学部卒業。25歳の1999年、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン開業のために現在の合同会社ユー・エス・ジェイに入社。数々のプロジェクトを牽引し成功をおさめる。現在は同社のマーケティング・ディレクター。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。現在は株式の長期集中戦略を展開し、直近10年間で元本60倍の実績を残す。著書『お金からの解放宣言~秘刀の投資法とお金の在りかた~』(かんよう出版)が大きな話題になっている。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、営業、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、マーケティング、人事、人材、研修

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