マーケティング経営の時代

CMOの役割、企業の成長戦略まで担う存在に 「マーケティング×マネジメント2018」開催(上)

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 日本経済新聞社は11月27日、「マーケティング×マネジメント2018」と題したセミナーを東京・日比谷で開いた。「マーケティングの活用で生み出す経営イノベーション」をテーマに、日本マーケティング協会や各企業の担当者が講演や対談を通じて実際のマーケティング事例などを議論した。基調講演・対談では「CMOはなぜ必要か―日本マーケティング協会『CMOソサエティ』での活動をふまえて」と題して、日本マーケティング学会会長の田中洋氏(中央大学教授)と、博報堂執行役員の安藤元博氏が登壇し、マーケティングを経営に生かす重要性などを訴えた。

(※「出世ナビ」の連載「だからマーケティングは面白い」はこちらからご覧ください)

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■基調講演 田中洋氏 「マーケティングの評価、再び上がる」

 この講演では、日本と米国におけるチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)の現状や、どのように企業や社会に受け止められているのか、マーケティングの現状などについてお話しします。

 まず、マーケティングの歴史の初期といえる1970年代には、マーケティングは高く評価されていました。経営学者のピーター・ドラッカー氏は企業価値において、「マーケティングとイノベーション(革新)が2つの基本的な機能である」ことを指摘しています。この2つが企業にとって有益な成果を生むと分析したのです。

 しかし80年代に入ると、企業の中でのマーケティングの位置づけがずれてきます。米ヒューレット・パッカード(HP)創業者のデービッド・パッカード氏は「マーケティングの重要性を考えると、マーケティング担当者だけに任せてはいけない」と述べています。これはマーケティングは企業にとって重要なので、専門部署に任せるだけではいけない、皆でやるべき役割だ、ということです。

 米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏は注目すべき発言をインタビューの中でしています。「消費者に何が欲しいか聞いて、それを与えるだけではいけない。完成するころには(消費者は)新しいものを欲しがるだろう」と述べています。消費者調査を否定するかのような発言ですが、実はアップル2を発売する時にアップルは色々な顧客の声を聞いている、と述べています。外に対して「独創的だ」というために、こうした発言をしたと思われます。

 さて、90年代に入るとマーケティング受難の時代になります。予算が縮小されたり、関連部署が分散化されたり、短期的な売り上げを重視する志向が強まったりしたことが背景にあります。2000年代の半ばころまで、企業の中でのマーケティングの位置づけはやや交代していくのです。

 そして10年代に入ると、CMOの役割が盛り返してきます。06年の米国でのCMOの任期は平均で約2年(24カ月)でしたが、13年には45カ月と倍に伸びます。これはテクノロジーの進歩が背景にあります。ビッグデータを扱えるようになったことや、マーケティングをデジタルで誰でも扱えるようになる「マーケティングの民主化」があるのです。

 さて、日本と米国の違いを見てみましょう。

 2006年時点では、フォーチュン1000社のうち、米国企業でのCMO設置率は47%、日本企業では5%でした。この時期に、マーケティングとは売り上げ拡大のためのプロモーションと、狭くとらえられていました。これが徐々に、ブランドアカウンタビリティー(説明責任)に拡大していきます。

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