新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

「スキルを持つミドル」が故郷に戻り働くことで地方振興へ 立命館大学教授 西山昭彦

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 問題は、いったい誰が高いスキルを持っていて、なおかつ地方で働きたいと思うかだ。答えは、上の関東や関西、地方中心部の企業に就職し、スキルを高めたものの、キャリアプラトーに達したサラリーマンの中にある。

 年齢的にも、若い時は都会のパワーがよかったが、満員電車、高額住宅ローン返済をはじめ過密社会に疲れてきたミドルがいる。都会生活の負に気づき、キャリアプラトーに達する中で、「このままここで昇進もなく、人生を終わっていいのだろうか」と思い出す。実際、「夢かも知れないが、故郷に戻って、郷土のために働けないかなあと時々思う」という人がたくさんいる。ある年代になり、自分が育った場への愛着や感謝が高まってくるのは人の常だ。恩返ししたい気持ちが出てくる。ジョン・デンバーが歌うTake Me Home, Country Roadsだ。

 国が支援すべきは、嫌がる若者の残留でなく、これらの真の地方Uターンの意志を持つ人々の転職だ。職の斡旋はもちろん、転居や住宅面の支援を行う。スキルを持ったミドルが故郷で働くから、メリットが生まれる。アウトプットは、スキル×モチベーションとたびたび言ってきたが、その両輪が回る。地方振興の担い手は、地元でずっと働いて場を熟知している人々とこれらのスキルを持ちこむUターンの人々の掛け合わせではないか。

西山 昭彦(にしやま・あきひこ) 立命館大学教授
一橋大学社会学部卒業後、東京ガス入社。ロンドン大学大学院留学、ハーバード大学大学院修士課程修了。中東経済研究所研究員。アーバンクラブ設立、取締役。法政大学大学院博士後期課程修了、経営学博士。東京女学館大学国際教養学部教授、一橋大学特任教授などを経て18年から立命館大学共通教育推進機構教授。人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。「ビジネスリーダーの生涯キャリア研究」がライフテーマ。著書は計61冊。

 

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修、就職

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