新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

「スキルを持つミドル」が故郷に戻り働くことで地方振興へ 立命館大学教授 西山昭彦

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 要するに、東京23区にある大学は人気があり、放っておいたら、地方から東京への学生の流入が続くから、そこだけ定員を頭打ちにして、これ以上入学できなくさせてしまう措置だ。自由主義社会におよそありえないような社会主義的政策に見える。

 若者が自分の意志で行きたい大学に行く。これを応援するのが社会の責務である。志望する大学で学ぶから、やる気も高まり成長し、その後社会で活躍する。それで社会も発展する。これが大学教育の効用である。その中で、若者は関東や関西中心部での大学生活を志向する傾向がある。北海道なら札幌、九州なら福岡を志向する。そこには、街のにぎわい、刺激があり、躍動感がある。若い時に、そういう場所で学びたいと考えるのは自然なことである。学生ファーストで考えたら、今回の措置はとれないはずだ。志望先に行けない学生の成長が低下すれば、その分社会が損することを忘れてはいけない。

 さらに、今地方大学が困っているのが、国から補助金を得て行っている地方就職率のアップ問題である。「県内就職を増やせと国から言われているけど、学生が志望しないんです。職員が企業を回っても、そもそもそんなに有力企業はないですし……」と地方国立大のキャリア担当者が苦悩している。これも、上と同じ発想だ。地方にとどまらせば、地方の振興になると考え、それを押しつける。しかし、実際は卒業生が働きたいところで職を得る、それで社会が伸びる。上から就職先をゆがめてはいけない。

真の地方Uターン

 こういうと、「それでは地方で働く人が減って、地方がだめになる」と言われる。しかし、無理に働かせても途中で退職もあり、結果は想定を下回る。先の大学のキャリア担当者によれば、相当数の離職者がでているという。

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