新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

「スキルを持つミドル」が故郷に戻り働くことで地方振興へ 立命館大学教授 西山昭彦

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 前々回前回の2回にわたって、生涯現役のスーパービジネスマンのモデルとして伊藤元規さんを紹介した。その活躍ぶりはサラリーマンの憧れである。今回は、企業社員のミドル以降の転職の場所について考えてみた。50代になり、現在の会社より長期で働こうと思った時、どこにその職場を見つけるのかは最重要課題である。

スキルの差を生かす

 本稿シリーズで以前、企業には規模間格差があり、それにより保有するスキルに差がある。つまり大規模企業にいれば進んだスキルを持っており、それが不十分な相対的に小さい企業ではニーズがあると述べた。東京なら地方で、先進国なら新興国でニーズが活用の余地がある。

 このうち新興国での雇用は、知り合いの人材紹介会社社員が十数年自分の担当ビジネスとして扱ってきた分野だ。大企業の技術系、研究開発系の人を外部から探り、個別にアプローチをして条件提示し、アジアの国の企業に紹介、斡旋してきた。好待遇での条件を数年保証する。しかし、その後技術を吸収されれば不要になり、雇い止めになる。「その数年で、がっちり稼げばいい」というが、期間が限られており、ミドル以降長期に働く今回のテーマにはそぐわない。

 小規模企業や地方への転職について考える際、前提には現在いる会社での「キャリアプラトー」の問題がある。サラリーマンのインセンティブである昇進が上限に達したら、人はやる気を失うのが一般的だ。しかも、年収が役職にリンクしている制度がほとんどなので、2大インセンティブを同時に失う。ポストオフは役職者の降格時にやる気を喪失させる問題だが、ある資格で上限に達するのは全社員であり、キャリアプラトーの与えるマイナス効果はとても大きい。少なくとも、スキルが高くやる気を持つ人が代わりの仕事を見つける消極的動機にはなる。それでは、それをどこで見つけるのか。

地方振興策にならない国の措置

 話は飛ぶが、東京23区内の大学定員を抑制する地方大学振興法が6月1日に公布された。地方の大学振興や若者の修学・就業を促進させる目的で制定され、地方に就業する若者の奨学金返還支援制度の創設などが盛り込まれた。特に、東京一極集中を是正するため10年間の時限措置として、東京23区にある大学には学部の定員増を認めないというものだ。

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