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海外に学ぶ大学無償化のあり方(下)大学の一部は「就職予備校」に 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 とかく日本は、「全員平等=ボトムアップ」に議論が偏りがちだが、グローバル社会で欧米各国と伍していくためには、一部エリートの「トップエクステンション」の仕組みも必要なのではないか。

欧米型の実務教育とエリート選抜を日本の大学に取り込む

 こうした欧米型の良いところを取り入れなおかつ混乱を最小限にできるような改革案を、以下に考えてみたい。

 まず、大学の学部構成は今のままとする。大枠、法政経商文のままで構わない。ただし、大学2年次以降、各学部をA課程(アカデミズム)とB課程(ビジネス)に分けることにする。

 Aは今までのカリキュラムとほぼ同じで、そこには将来、研究・公務・教育・士業などを目指す人が行く。彼らは大学の専門教育が実務にかなり結びつくだろう。

 一方、民間就職を考える人たちはBに進む。こちらはドイツの職業大学を範として、2年次には人事・総務・経理・営業・マーケなど実務を徹底的に教える。さらに3年時に上位1割程度を選抜してエリート教育をするような精鋭クラスを設ける。この特別選抜組はフランスのグランゼコールを範とする。こちらに進めば、企業連携講座と人気企業からの学費・給与付き実習生などの特権が与えられる。こちらに入れなかった人は、ドイツの職業大学3年次と同じように2か月×3職務の実習に出る。そこから先はドイツと同じだ(図表10)。

 Aへ進んだ人は専門知識が将来役に立つから、言われなくても勉学に励むだろう。一方Bの人たちは特別選抜組に入るという目標ができるので、今までよりも学習意欲がわく。3年時以降の特別選抜クラスは、グランゼコールや米国MBAのように寄付講座制とすれば、大学と企業は距離が縮まり、資金面でも楽になる。一方、こちらに入れなかった一般組でも、3年以降は企業実習主体なので、勉強嫌いでも真剣度は増すだろう。

 欧米では、大学進学率の上昇に合わせて大学の在り方も産業界との連結にシフトしている。日本も無償化論議の前に、現実と合う形へと大学を変革させる必要があるだろう。

海老原 嗣生(えびはら・つぐお)
1964年、東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計等に携わる。 その後、リクルートワークス研究所にて雑誌Works編集長。2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。雇用・キャリア・人事関連の書籍を30冊以上上梓し、「雇用のカリスマ」と呼ばれている。近著は『「AIで仕事がなくなる論」のウソ』(イースト・プレス)。

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修、就職、就活、就活ルール

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