炎上しない企業情報発信

ハウス食品のCMが「ジェンダー炎上」の先駆け 治部れんげ

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 この事例から、現代に通じる課題が見えてくる。変わらないことは、批判されるCMの表現だ。「家庭のことは女性がやるもの」という固定的な役割分担意識に基づいた女性像や男性像を描いてしまうと、強い批判を集めることになる。これまでに紹介したユニ・チャーム〈ムーニー〉の動画とハウスのCMには共通する課題がある。

 一方で半世紀前と現代を比べた時、いちばん大きな変化は、こうした問題を報じるメディアの姿勢だろう。前述した週刊誌のような表現を使えば、今ならその週刊誌自体が批判を浴びるはずだ。ここ10~20年で、メディアの現場には女性記者や編集者が増えている。ジェンダー関連の炎上事例はウェブメディアでも新聞でもしばしば取り上げられるようになり、かつてのような揶揄や差別的表現は使いにくくなった。

 何より変わったのは、企業と消費者のコミュニケーション手段が多様化したことである。多額の予算をかけて制作・放送されるテレビCMから、より低い予算で手軽に作れるインターネット動画の活用が増えている。

 低い予算だからと担当者は軽い気持ちで企画をしていないか。自社の発信に不快感を表明する消費者や潜在消費者の意見に耳を傾けているだろうか。なぜ、その表現が不快と言われるのか、その理由を考えているだろうか。

 本質的な問題に対処し、積極的な発信をしていくためには、過去の失敗や成功事例を知り、そこから学ぶことが必要になるだろう。

治部れんげ著『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社、2018年)「第3章 ジェンダー炎上を読み解く」から
治部れんげ(じぶ・れんげ)
1997年、一橋大学法学部卒。日経BP社にて経済誌記者。2006~07年、ミシガン大学フルブライト客員研究員。2014年よりフリージャーナリスト。2018年、一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了。日経DUAL、Yahoo!ニュース個人、東洋経済オンライン等にダイバーシティ経営、女性のエンパワーメントについて執筆。現在、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。東京大学情報学環客員研究員。日本政府主催の国際女性会議WAW! 国内アドバイザー。東京都男女平等参画審議会委員(第5期)。公益財団法人ジョイセフ理事。一般財団法人女性労働協会評議員。著書に『稼ぐ妻・育てる夫』(勁草書房)等。2児の母。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、営業、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、マーケティング、人事、人材、研修

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