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ハウス食品のCMが「ジェンダー炎上」の先駆け 治部れんげ

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 ハウスの広報室長は、同年10月1日付の朝日新聞記事で次のように話している。

 「わが社としては男女の差別や、職域区分を固定化しようとするつもりはなく、正直びっくりしている。しかし消費者の声には謙虚に耳を傾けていくのは当然で、社内でも慎重に検討している。CMの中の男女を逆にしたら、と助言してくれた人もいるが、どうするかはまだ結論が出ていない」

逃げずに対応したハウス広報

 その後、同社は新製品への切り替えを理由に、同年10月27日、行動する会に回答を寄せ、同月末にCMを中止した。この室長の対応からは、今でも学ぶべきところが多い。第一に、自社のCMに反対し、中止を求める消費者と直接会っていること。多くの広報担当者が、できれば会わずにすませたいであろう相手から逃げずに話を聞いている。

 第二に、メディアの取材に対して、回答を控えずに意見を述べていること。「正直びっくりしている」というコメントから伝わってくるのは担当室長の率直さである。第三に、社内でいかなる対応策が検討されているか、その時点での最新情報を提供している。

 ところで、「わたし作る人、ボク食べる人」CMについては、抗議運動を報じるメディアに大きな問題があった。行動する会編集委員は「男女の役割分担が差別の源ということをほとんど理解できていなかったメディアの多くは、2つの行動(ハウスとNHKに対する抗議・筆者注)に対して誹謗、中傷、からかい等の記事を書きまくった」として、雑誌記事を紹介している。

 例えば女性週刊誌ヤングレディは「”女らしい”が女性差別の言葉? ヒステリックですね……」と記した。性差別問題を指摘する人を「ヒステリック」と揶揄することは、現在もよくある。「問題提起する人」とそれを「受け止める人」に加えて「冷笑する人」がいる。情報発信の手段が紙媒体からインターネットに移っても、この構図は変わらない。

 報道の中には「わたし作る人……」より、深刻な問題と思われるものもあった。例えば週刊文春の「女性は生理になると判断が狂う」や、週刊プレイボーイの「それでも俺たちは言う!『わたし生む人』『ボク生ませる人』」といった記述である。

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