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ユニ・チャーム、人気の動画が「炎上」招いた理由 治部れんげ

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 ジェンダー関連の動画が炎上する構造は数年前と現在で変わらない。変化があるとしたら「ターゲットのずれ」の問題が、明確になってきたことである。事例として、ユニ・チャームの生理用品(タンポン)のCMを見てみる。この動画は2017年4月に女性向けの生活情報を発信するTwitterアカウント「C CHANNEL (シーチャンネル)女子のための1分動画」に投稿されたものだった。

ネットではターゲティングが「ずれる」

 動画は短い。20代前半と思しき男女のカップルが並んで座っている場面から始まる。登場人物のセリフはなく、明るいBGMとともに字幕解説が出てくる。

 「知らなかった! 生理中の彼女について 彼の本音を大調査!」という字幕に続いて「Q彼の本音を調査! 彼女の生理中に困ったことがある?」。円グラフで65%が「YES」であることが示される。

 例えばどんな時に困ったか、男性のコメントが紹介される。「隣に座ろうとすると距離をとられる……Aさん(20歳)」「旅行の予定がキャンセルになった……Yさん(28歳)」「やたらとトイレに行くから待ってる間が寂しい! Tさん( 24 歳)」「ベッドを汚したと朝から落ち込み気味……Oさん(26歳)」。それぞれ、コメントに合うカップルの動画が背景に見える。

 場面が転換し、それまでの字幕よりやや大きなフォントで「そんな時 タンポンなら大丈夫◎」と描かれた後、製品の利点が示される。

 具体的には「身体の中で吸収! ニオイが気にならないから近くてもOK」「モレやズレの心配なし! ゴロゴロしてもOK」「コンパクトだから持ち運びもらくちん」「旅行もデートもいつも通り楽しめる」という字幕とともにそれを表す動画が背景に流れる。

 続いて〈ソフィ ソフトタンポン〉の製品写真とともに「生理でも、いつも通り楽しみたいあなたに(抽選で1000名様に当たる)」という字幕が映り、手をつなぐカップルの後ろ姿を描きつつ、女性が振り返ってピースサインをして終わる。

 「この動画はもともと、C CHANNELという美容・ファッションコンテンツを収録する動画チャンネルに流され、好評だったものです。少し時間が経ち、C CHANNELユーザー以外の目に留まるようになり、批判や炎上に発展していきました。ここには『ターゲティングのずれ』という問題があります。インターネットの『誰でも見られるメリット』が、炎上案件においては『誰でも見られるリスク』に転換しています」(日経クロストレンド編集部の小林直樹氏)

 動画はC CHANNELユーザーである美容に関心が高い20代女性を意識して作られている。それをターゲットユーザーが見ている時には、あまり違和感もなく便利な製品紹介と受け止められたのだろう。当初は好評だった、と小林氏が述べるのはそのためである。

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