炎上しない企業情報発信

資生堂はなぜ炎上したのか 女性を「年齢や容姿」で判断? 治部れんげ

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

問題表現を批判的に見ることが「ジェンダー視点」の第一歩

 〈INTEGRATE〉のCM1本目には「女性の価値を年齢で決めること」に対する反発が集まった。「年齢が上がるにつれて、女性は価値がなくなる」という考え方は、かつて聞いたことがある。例えば筆者が大学生だった四半世紀前は、女性の結婚適齢期を25歳くらいとする規範が残っていた。しかし平均初婚年齢が30歳近くなった現在、そんなことを言うのは「古い」だけでなく「現実的ではない」だろう。

 2本目については、ルミネと同じ問題構造が見える。働く女性に対して、仕事の成果とは無関係の女性としての魅力を求める男性上司の発言と、それを容認するようなストーリー展開が嫌気されたのである。資生堂はこのCMを取り下げている。

 読者の中に、ルミネや資生堂のように働く女性を主要顧客とする製品やサービスを作っている方がいたら、広告やCM、インターネット動画の表現に注意してみてほしい。たとえ悪気がなくても、女性が「侮辱された」と感じるような描写をすれば、多方面から非難される可能性があるからだ。

 「職場で男女を違うものさしで測る」「女性に仕事の成果より容姿を整えることを要求する」「女性の価値は年齢で決まる」といった趣旨のメッセージは、現代では、批判の対象になる。

 こうした表現を批判的に見ることは「ジェンダー視点を持つ」ことの第一歩だ。身近にある表現で当てはまるものはないか、考えてみることで、炎上を防ぐ発想法を身に着けられる。

治部れんげ著『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社、2018年)「第2章 なぜ優良企業のCMが相次いで『炎上』するのか」から
治部れんげ(じぶ・れんげ)
1997年、一橋大学法学部卒。日経BP社にて経済誌記者。2006~07年、ミシガン大学フルブライト客員研究員。2014年よりフリージャーナリスト。2018年、一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了。日経DUAL、Yahoo!ニュース個人、東洋経済オンライン等にダイバーシティ経営、女性のエンパワーメントについて執筆。現在、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。東京大学情報学環客員研究員。日本政府主催の国際女性会議WAW! 国内アドバイザー。東京都男女平等参画審議会委員(第5期)。公益財団法人ジョイセフ理事。一般財団法人女性労働協会評議員。著書に『稼ぐ妻・育てる夫』(勁草書房)等。2児の母。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、営業、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、マーケティング、人事、人材、研修

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。