炎上しない企業情報発信

ルミネ、資生堂…なぜ優良企業のCMが「炎上」するのか 治部れんげ

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 もちろん、男性と女性は生物的に違う。その場合、生物的に違う部分に、違う「ものさし」を当てはめることは容認される。職場においてトイレや更衣室が男女で分かれているのは、そのためである。妊娠・出産は女性のみがする。だから産前産後の休業は女性だけが取れる。ただし、育児は男性もできるから、育休は男性も取れる。

 原理的には女性だけが休むのは、双子などでない場合は出産前の6週間と出産後の8週間だけだ。その後、子どもが1歳になるまで(保育園に入れないなど事情がある場合は2歳まで)育児休業を取ることは、現在、日本の法律では男女双方に認められている。

 アメリカなどは、男女兼用トイレがあったり、性別を問わず誰でも入れるトイレもあったりする。いわゆる育休も、血のつながった子どもができた時だけでなく、養子を迎える際、家族の時間を確保するために取ることができる会社もある。

 このように、男女の生物的な違いは、必ずしも社会的な扱いの違いを正当化しない。職場で同じ仕事をしている男女に、異なる期待をかけるのは「おかしい」と気づくのがジェンダー視点を持つ、ということだ。

 TwitterやFacebookではルミネ動画について「この上司の発言はセクハラだ」「働く女性をバカにしている」「いまの時代にこんなCMを作っているとは驚く」といった批判が書き込まれた。こうしたコメントを書いた人々は、「ジェンダー」という言葉を使ってはいない。それでも「職場」という本来は能力や成果で測られるべき場で、女性に女性らしさを求めるのはおかしい、というジェンダー視点をそこから読み取ることができる。

治部れんげ著『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社、2018年)「第2章 なぜ優良企業のCMが相次いで『炎上』するのか」から
治部れんげ(じぶ・れんげ)
1997年、一橋大学法学部卒。日経BP社にて経済誌記者。2006~07年、ミシガン大学フルブライト客員研究員。2014年よりフリージャーナリスト。2018年、一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了。日経DUAL、Yahoo!ニュース個人、東洋経済オンライン等にダイバーシティ経営、女性のエンパワーメントについて執筆。現在、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。東京大学情報学環客員研究員。日本政府主催の国際女性会議WAW! 国内アドバイザー。東京都男女平等参画審議会委員(第5期)。公益財団法人ジョイセフ理事。一般財団法人女性労働協会評議員。著書に『稼ぐ妻・育てる夫』(勁草書房)等。2児の母。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、営業、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、マーケティング、人事、人材、研修

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