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ルミネ、資生堂…なぜ優良企業のCMが「炎上」するのか 治部れんげ

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 ルミネ、資生堂、キリンビバレッジ、サントリー、宮城県、ユニ・チャーム。これらの企業・組織に共通することがある。それは、SNSで「炎上」した経験である。冒頭に挙げた企業や組織は、いずれも、CMの中で描いた女性像が問題視されてネットユーザーから強く批判された。つまり「ジェンダー炎上」を体験している。関連のインターネット記事を読んだ人もいるだろう。一流企業の炎上が相次ぐのはなぜなのか。

働く女性やママを「応援するつもり」が……

 批判されたCMに共通するのは、働く女性を馬鹿にしたような表現だったり、仕事だけがんばっていても外見を磨いていなければダメといったセリフだったり、老若男女が見るCMなのにアダルトビデオのような演出だったりする。これらは、ばらばらの要素に思えるが「社会慣習や男性に都合の良い”型”を女性に押しつけている」点が共通している。

 どんな内容だったのか。冒頭に挙げた企業・組織のCMを、批判されたポイント別に4分類してみよう。分類は(1)働く女性への侮辱、(2)女性客全般を見下す表現、(3)性的イメージの露骨な表出、(4)家事育児を女性の役割と決めつけている、とした。

働く女性への侮辱的な表現が問題になったルミネ

 最初に、2015年3月に公開されたルミネの動画の内容を振り返ってみよう。

 主人公は30歳前後の会社勤めの女性。服装は白地に黒のボーダーシャツと白いパンツ、ベージュのコート、黒い髪をひとつにまとめて後ろで結んでいる。動画はこの女性の出勤風景を描くものだ。主人公はスーツを着て眼鏡をかけた男性上司(推定年齢・30代後半~40代初め)と挨拶を交わす。

 Google(グーグル)検索すると、YouTube(ユーチューブ)に残っている動画を見ることができるかもしれないが、あえて絵コンテ風に表してみた。あなたは、この動画上のやり取りを、どう思うだろうか。「うちの会社でも、こういうやり取りはあるな」と思い当たるかもしれない。「自分がかつて言われたことがある」方もいれば「こういうことを部下に言った記憶がある」方もいるだろう。

 この動画には批判が集まり、ルミネはウェブサイト上に謝罪文を掲載した後に動画を取り下げている。なぜ批判されたか、お分かりだろうか。動画の中で批判されたのは、上司の言動だった。

 この上司は初めに、朝挨拶を交わした部下の顔つきを「疲れている」と指摘している。ここまでは、よくあるやり取りかもしれない。特に最近、働き方改革への関心が高まり、管理職は部下に無駄な残業をさせないようなマネジメントを求められる。もし、部下が遅くまで働いていたなら仕事の配分を見直さなくてはいけない。

 ただし、動画に登場する上司はそういうことを心配しているわけではない。それは、続く会話から読み取れる。主人公女性が「普通に寝ましたけど」と答えた後、この上司は「寝てそれ?」と馬鹿にしたように笑うのである。ここに表れているのは「ちゃんと寝たのに疲れた顔をしている」「化粧をあまりしていない」部下女性に対する揶や 揄ゆであろう。動画では上司が後輩女性の口真似をしているくだりもあり、それも相手を馬鹿にしていると見なされる。さらに、主人公女性に「お前とは需要が違う」という最後のセリフが決め手となる。

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