新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

伝説のスーパービジネスマン(下)転職は「年収・肩書に執着しないで」 立命館大学教授 西山昭彦

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夢のマシン

 今までにはないおいしいチョコレートを作るため同社には3つの新しい施策がある。第1は、これまでカカオ豆をチョコレートにするため粒子サイズを小さくするのに72時間かかり風味がおちていた。3分でできるマシンを開発し、風味を落とさなくした。

 第2に、カカオ豆は焙煎してから時間がたつと劣化する。そこで焙煎してから時間をあけずにマシンに供給できるようにした。

 第3に、原料はインドネシアの農園と契約し、技術指導も行い、高い品質の豆にした。

 ついに、今年、「カカオ豆をその場で挽いて3分でチョコレートにする」世界初のマシンを開発し、京都駅店に設置した。この機械は無限の可能性を持つ。これがよいとなれば、他の店もこの機械を導入するかもしれない。その時、同社がシステムとして導入しIoTで管理するようになれば、その市場は巨大となる。伊藤さんの活躍の場はここでもとどまることがない。

 最後に転職について聞いた。「この分野ならずっと働けるという、自分の土俵を早く見つけることが重要だと思います。その上で自分のやりたいことができる会社に転職することがいいと思います。年収、肩書き、部下などに執着していると、いい転職はできないでしょうね。それらは、会社が変わればすべてゼロになってしまいますからね」。条件にこだわるサラリーマンが多い中で、全くの逆パターンだ。会社も無条件なら未知の人も雇いやすい。入社後結果を出せば、処遇は後からついてくることになる。

 生涯現役サラリーマンの鑑といえる伊藤さんは、今日も営業で全国を歩いている。

西山 昭彦(にしやま・あきひこ) 立命館大学教授
一橋大学社会学部卒業後、東京ガス入社。ロンドン大学大学院留学、ハーバード大学大学院修士課程修了。中東経済研究所研究員。アーバンクラブ設立、取締役。法政大学大学院博士後期課程修了、経営学博士。東京女学館大学国際教養学部教授、一橋大学特任教授などを経て18年から立命館大学共通教育推進機構教授。人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。「ビジネスリーダーの生涯キャリア研究」がライフテーマ。著書は計61冊。

 

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修、就職

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