新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

伝説のスーパービジネスマン(下)転職は「年収・肩書に執着しないで」 立命館大学教授 西山昭彦

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 この時代に、伊藤さんはエネルギッシュでスピード感あふれる70代の会長の仕事を間近に見たことで、かつての「65歳まで現役」の看板を「生涯現役」に切り替えた。

突然の辞任と再就職

 その伊藤さんが2018年6月末で同社を自発的に退職した。その理由は、常人には理解できにくいものだ。普通なら上場企業の社長職を続けるのが通常だが、伊藤さんは「同社に9年いて、そろそろ次のことを考えたい」と思い出した。

 そんな時、所属していた自由企業研究会で、ダリケーの吉野慶一社長の講演を聞いた。「全身を電流が走った。『日本にもチョコレート文化を作り、みんなが楽しめるようにする』これが自分の次にやるべき仕事だ」と瞬時に確信した。この吉野社長の経歴はすごい。慶應義塾大学卒業、京都大学大学院で飛び級で修士号、オックスフォード大学大学院で修士号をとり、モルガン・スタンレー証券に入社した。しかし、チョコレート業界に可能性を感じ、2011年退社し起業した。この会社ダリケーは自らカカオを輸入し、そのカカオで作る香り高いチョコレートを世に送り出すため、専門店3店を持っている。

 伊藤さんは吉野社長の講演を聞き、「自分も一緒にチョコ文化を作りたい。自分は技術屋で、その面で御社を伸ばすことができる」と社長に手紙を出した。面接後、役員待遇というオファーを断り、「ヒラで入社したい。給与も最低でいい。」と伊藤流を貫き、本年7月から仕事を始めだした。

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