新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

伝説のスーパービジネスマン(下)転職は「年収・肩書に執着しないで」 立命館大学教授 西山昭彦

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 前回に続き、スーパービジネスマン、伊藤元規さんが新興企業でどうやって社長になったのか、そしてあえてそれを辞めて、京都の人気チョコレート専門店「ダリケー」に入社し、志願してヒラ社員をしているのか。そのプロセスを取り上げる。

出張中に役員昇格

 ITbookに入社して半年後、外部から新しい社長が就任した。新興上場企業を次々と立て直してきた人物だ。新社長は伊藤さんに会うなり、「今日から、新しく第二コンサルティング本部を設置し、君が本部長だ。仕事は何をしてもいい」と言う。伊藤さんは「よし、これで自治体クラウドの仕事を心置きなく進められる」と思った。

 3週間後、執行役員に昇格した。「65歳まで営業現役」にこだわる伊藤さんが断る可能性があるため、伊藤さんが出張中に取締役会で決定された。その後、瞬く間に常務、専務、副社長に就任した。伊藤さんの業績が抜群で、それによって会社の業績も急速に改善されたのだから当然といえる。本人はいつも営業で全国を飛び回っており、いずれも外出中に決まっていたという。

上場企業社長に就任

 そして、ついに2012年社長に就任し、さらに業績を劇的に向上し、株価は大幅上昇した。一説では、100倍になったといわれている。ITbookは「ITを活用し、豊かな社会を実現する」を企業理念としている。伊藤氏はこの会社のビジネスモデルについて、「当社はIT系のコンサルティング会社で、システム開発まではやっていません。やれば、売上高の桁が2つぐらい大きいビジネスになるでしょう。しかし、単純に売上だけを大きくしても意味がない。私たちがコンサルに特化する理由は、ITの世界においてはコンサルこそ、ゼロから新しいものを生み出せる仕事と考えています。ITとは本来、アップルのiPhoneやiPodのように、産業構造そのものを変えるようなパワーを持っている創造ビジネスです。そして、コンサルタントの使命はITにおける創造そのものを担うことです」と語る。自治体クラウドからマイナンバーへとビジネスは順調に拡大した。

 会社は毎年2桁成長を続けた。合併して持株会社になる前の、2012年3月期の決算は、売上高4億円、営業利益1500万円、当期利益1500万円であった。それが2018年3月期は売上高73億円、営業利益4億円、当期利益2.3億円であった(同社決算短信)。まるで別の会社の数字のような伸びだ。これが伊藤社長の成績表である。

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