ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの挑戦

USJ、「クリスマスの集客」を倍増させた仕掛けとは? USJマーケティング・ディレクター 兼 個人投資家 秋山 哲

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

インサイトは「ドキッ!」とするもの

 消費者も気づいていない潜在的な問題であるインサイトを発掘するのは簡単ではありません。私たちがインサイトを発掘する手法はいくつかありますが、最も多く活用しているのは消費者の言動を観察しながら消費者を洞察することです。消費者の観察で代表的なのはフォーカス・グループなどのインタビューです。ただ、インタビューをしても消費者はインサイトを教えてくれません。それどころか、見栄があったり、その場の雰囲気に合わせたり、言語化できないなどの理由で、本音すら語ってくれないことも多くあります。こうした場合は、建前に隠れた本音を導くように対話や質問をしていきます。

 私たちが導いたクリスマス・レジャーにおける消費者の本音は、カップルの来場決定者である若い女性の場合は「普段は仕事や学校の人間関係などに追われて気持ちに余裕がなく、素直な気持ちになれず大切な人を大切にできていない」ということでした。また、家族の来場決定者である母親は「普段は、父親の仕事、子供の学校、自分の仕事や家事など多忙で、家族全員で一緒に何かすることはほとんどない。クリスマスという特別な時期くらいは家族全員揃って大切な時間を共有したい」ということでした。

 本音を導いたら、本音の根底にある価値観や心理を洞察していきます。価値観や心理を洞察する上で留意しているのは先天的な欲求です。なかでも、「他人から認められたい」「自分自身を認めたい」という承認欲求、「他人から愛されたい」「人と繋がっていたい」という社会欲求の2つは普遍的な先天欲求で、レジャー・カテゴリーにおいて解決しうる欲求なのでこれらに留意しながら消費者をさらに洞察していきます。

 最終的には、消費者の洞察を通じて発掘したインサイトを複数のマーケターで議論します。この際、消費者層に属するマーケターも必ず入ります。消費者層に属するマーケターは、インサイトを言われた時に「そう! 私が言いたかったのはそれ!」と興奮したり、「嫌! そんなこと言わないで!」と涙を浮かべたりします。このようにインサイトは、それを言われたらベクトルは別として「ドキッ」とするものなのです。先に紹介した「大切な人との関係はこのクリスマスが最後かもしれない!」というインサイトもこのような経緯で発掘しました。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。