新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

伝説のスーパービジネスマン(上)統括部長→ヒラ→社長→ヒラの人生 立命館大学教授 西山昭彦

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 今回はミドル以降の仕事を考える際の成功事例として、一人のスーパービジネスマン、伊藤元規さんを紹介したい。伊藤さんとは長年のつきあいであるが、企業はその間に3回変わっている。現在は、2番目のITbookの社長を自ら退任し、京都の人気チョコレート専門店「ダリケー」に入社、志願してヒラ社員をしている。本稿を書くために会いたいと思ったら、その日に数年ぶりにメールが来て、京都出張中の翌日に会うことができた。以心伝心、人生の縁のすごさを感じた。今回は大企業を辞めてから新興企業へ転職までを紹介する。次回に、連続的な昇進と、現在の会社への転職を取り上げる。

大企業統括部長を辞す

 伊藤さんは富士電機で55歳を過ぎた頃からぼんやりと退職を考え始めた。会社は65歳定年制を導入していたとはいえ、実際には60歳前後で関連会社に出向・転籍させるシステムだった。伊藤さんは65歳まで営業部長として現役で活躍することを目指していたので、このシステムでは無理と感じていた。

 57歳で取引先から「役員として迎えたい」というスカウト話があったが、会社が反対し実現できなかった。その時、役員は「60歳になっても出向でなく統括部長という役職も変わりなく続けてよい」という条件を出した。しかし、「65歳までやれますか」という伊藤さんの問いに対しては、どの役員からも「保証できない」という回答しか得られなかった。会社の制度にない措置であり、役員自身がそれまで続投できるとは限らないから当然ともいえる。

 そのような中、担当の文書管理システムが都道府県、国でも採用され、約20万人の職員に共通に利用されるシステムへと育った。やるべきことはやったと感じた伊藤さんは、60歳を機に「今度こそ退職にむけて準備しよう」と行動を始めた。

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