誤解だらけの健康管理術

インフルエンザの「カンペキな予防法」 うがいやマスクは効果なし? 健康企業代表・医師 亀田 高志

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 厚生労働省はインフルエンザの予防法として、流行前の予防接種以外に、咳やくしゃみで出る小さな水滴(飛沫)を浴びないようにすること、外出後の手洗いやアルコール製剤による手指衛生、適度な湿度(50~60%)を保つこと、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取、人混みや繁華街への外出を控えることを推奨しています。

うがいとマスクはしても無駄?

 ところで、「うがいやマスクは予防に役立たないの?」と気がつく方がいるかもしれません。うがいは日本では衛生習慣として励行されてきた歴史がありますが、その予防効果の研究もほぼ日本でしか行なわれていないようです。うがいには効果があるとする研究、うがいはうがい薬ではなく水で十分だとする研究、中にはカテキンを含むお茶のうがいが良いとする研究もあるようです。しかし行政や医学界全体では、うがいは絶対有効な予防としては推奨していないのが現状です。ウイルスがのどに付着するとあっという間に細胞に進入し洗い流せないとする意見もあります。

 マスクは発病した人が付けると周囲への感染を減らす効果があるが、感染していない人が付けても予防にはあまり効果が明らかでないという考え方が、医学的には一般的であるように思います。花粉や粉塵に比べてウイルスの粒子があまりに小さく、マスクを通り過ぎてしまうとか、正しい装着が出来ていない人が少なくないといったことがその背景にはあります。

 ちなみに春先になるとスギ花粉症のシーズンとなり、マスクをつける人が増えますが、しばしば口だけを覆っていて鼻が出ていたり、中には顎までマスクが下がっている人もいます。マスクをすると息苦しかったり、メガネをしている人はレンズが曇ったりしますから、正しくない付け方になりがちなのです。

インフルエンザ対策は全員参加が基本

 インフルエンザに限らず感染症に対する対策のポイントは、病原体→感染経路→宿主(ヒト)の3つの要素から、個人と共に職場全体の両方の視点で全員参加で考えることです。

 個人の立場で自らが予防するには、病原体への接触や感染経路を断つために、出来るだけ人ごみを避ける、不要な外出を減らす、手洗いをするといった対応が考えられます。感染症が起きるヒトや動物を宿主と言いますが、予防接種や疲労を溜めないようにコンディションを整えることも宿主の視点で可能な対策です。

 自身に発熱等の症状が出たら、無理に職場等に行かない、咳やくしゃみ等の症状があれば不織布製マスクを着用する、安静にして休養や睡眠を十分に取る、水分補給を十分にとる、などが大切です。高熱が酷く呼吸が苦しい時や、特に持病がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。診断を受けた上で抗インフルエンザウイルス薬を処方してもらい、服用することができます。

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