誤解だらけの健康管理術

インフルエンザの「カンペキな予防法」 うがいやマスクは効果なし? 健康企業代表・医師 亀田 高志

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 子供時代にインフルエンザで学級閉鎖となれば、大歓迎ではなかったでしょうか? 一方で自身が罹ると高熱とのどや関節の痛み、咳で苦しい思いもした記憶があることでしょう。

インフルエンザの被害は大きい?

 季節性のインフルエンザの流行は、毎年11月下旬から12月上旬頃に始まります。1~3月頃に患者の数が増加し、4~5月にかけて減少していくパターンを繰り返します。夏に患者が小集団で発生し、インフルエンザウイルスが特定されることもあり、その年によって、流行するウイルスのタイプや時期は変化しています。

 大人になっても、冬場には季節性のインフルエンザに罹り、高熱やのどの痛みに悩まされながら、数日から1週間も休む人が絶えません。中には肺炎を併発し、入院する人までいます。子供時代には学校を休んでもストレスは感じなかったことでしょう。しかし、仕事を持つ身で高熱で臥せってしまうと、生産性の向上を求められる中では、仕事や穴埋め、取引先との打ち合わせ等が頭をよぎり、オチオチ寝ていられない感じではないでしょうか。何で罹ったのかと腹立たしく思いつつ、予防できる術は無かったかと熱っぽい頭で考えてしまうことでしょう。

 毎年、世界では季節性のインフルエンザによる重症者が300万~500万人、死亡者が29~65万人も生じています。日本国内における推定でも感染者が毎年1000万人、直接の死因となってしまうのは200人から2000人程度、インフルエンザに付随する病気で死亡する人は1万人に及ぶとまで言われています。

 アメリカでは季節性インフルエンザによって1年で1700万日の労働損失日数を生じ、病気欠勤や失われる生産性は70億ドル(8000億円)にも及ぶと考えられています。

 2009年に新型インフルエンザが流行し、日本でも大きな経済的な損失を生みました。日本では医療保険制度の優位性もあって海外に比べて重症化し、亡くなる人は少なかったのですが、季節性のインフルエンザでもアメリカと同じように大きな経済損失があるものと思われます。

インフルエンザは完全に防ぐことができる?

 こうしたインフルエンザによる健康被害や損失を少なくするべく、世界保健機関(WHO)では、次のような予防法を推奨しています。

 まず、最も有効な方法は、予防接種だとしています。すべての妊娠女性、半年から5歳の小児、65歳以上の高齢者、慢性的な病気で治療を受けている人等が受けるべきだとしています。インフルエンザの予防接種は発症の完全な防止はできませんが、罹ってしまった場合の重症化の防止にも効果があるとされています。

 医学的には抗ウイルス薬をインフルエンザウイルスへの曝露前または曝露後に投与すると発病の予防ができるとも考えられています。しかし、日常生活の中で確実にウイルスに曝露していると確認することは容易ではありません。いつか罹るかもしれないからという理由で、健常な人に延々と数週間から数カ月もの間、抗ウイルス薬を処方してくれる医師もいません。

 その他の予防法としては、以下の方法が推奨されています。

・定期的な手洗いと手指の適切な乾燥
・咳やくしゃみのときに口と鼻を覆う(咳エチケット)
・(咳やくしゃみのときに)ティッシュの使用と正しい廃棄
・気分不良、発熱、その他のインフルエンザの症状が出たら自主的に職場等を離れる
・疑われる症状のある人との緊密な接触を回避する
・流行の際に他の人の目、鼻、口に触れないようにする

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