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積水ハウスが「男性社員に育児休業1カ月」 完全取得、宣言の狙い 積水ハウス執行役員ダイバーシティ推進部長 伊藤 みどり

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 0歳から3歳未満の子を持つ社員(勤務年数等の要件あり)を対象に、休業開始日から通算1カ月までを有給とします。家庭の都合や、業務との調整が図りやすいよう、最大4回に分けての取得を可能にしました。出産直後からの取得をはじめ、パートナーの職場復帰に合わせて、2人目以上の子の出産時になど、それぞれの家族が必要とする形で取得できる点も特徴のひとつ。すでに約200人の男性社員から取得計画書が提出されています。

 オーダーメイドの住宅建築を生業とする社員にとって、お客様それぞれの暮らしやライフスタイル、将来設計などに深く関わる機会はとても多く、そしてそれはとても重要なことです。そんな積水ハウスだからこそ、「男性社員1カ月以上の育児休業完全取得」を宣言し、その目標を達成することは、社会的にも大変意義のあることだと考えています。そしてこれを機に、ダイバーシティ経営への取り組みを一層加速させていく方針です。

育児休業取得を阻害する要因を探り、課題を解決

 海外では、男性の育児休業の取得が進んでいます。これに対して、日本での取得率は5.14%にとどまり、取得率0%と回答した企業が約9割(厚生労働省「仕事と育児の両立調査結果」2017年11月調査)というのが現状です。

 積水ハウスは、仕事と育児の両立支援にも力を注ぎ、女性社員のみならず、男性社員全員が育児休業を取得するよう推奨してきました。その成果の一つとして、男性の育児休業取得者数は2017年度で483人となり、年々大きく増加しています。しかし、その取得日数は女性の平均取得日数479日に対し、男性はわずか2日にとどまっていました(2018年1月末時点)。そこで、新たにイクメン休業制度の運用を決定したのです。

 運用開始に至るまでには、さまざまな課題に直面しました。休業中の業務や、キャリア形成への影響、さらに担当するお客様のご理解が得られるかといった、男性社員自らが感じている不安を解消するための人事諸制度を整備。対象社員やその上司・幹部を主な対象者とする研修やフォーラムなども随時実施してきました。

 特に苦労したのは、「1カ月以上の育児休業」に対する現場責任者の理解を得ることです。本制度の取得対象者となる3歳未満の子を持つ男性社員は、1,371人(2018年7月1日時点)。支店や部署によって異なるものの、平均年間5~6人の部下に子どもが生まれる現状から考えると、次々と育児休業者が出てくることへの不安が大きかったためです。

 ただ、妊娠判明から育児休業に入るまでは一定の期間があります。その間に業務分担の見直しやスムーズな業務の引き継ぎなどについて、十分な話し合いや調整ができます。また、そのことにより助け合う職場風土が醸成され、お客様への提案力の向上などにつながることも期待できます。

 イクメン休業制度が、職場や会社、そして社会にとってどのような効果や価値を生み出すのか。その本質をしっかりと伝え、理解してもらうことが大変であり、一番重要なことでした。

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