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間違いだらけの新卒採用、「第二新卒と卒業直前」にヒント 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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4月1日選考開始と、抜け駆けをなくすための就職ナビ規制

 就活ルールをめぐる連載も、7回目の今回で最後となる。どのような就活が最善なのかを本稿では考えていくことにしよう。

・新卒採用ルールの連載全7回はこちらから。1回目。 2回目。 3回目。 4回目。 5回目。 6回目。 7回目

 まず、就活ルールがなければ、企業の選考はやみくもに早期化し、結果、学業は破壊状態、企業も消耗戦となって、結局、調整ルールを皆が欲しだす。過去の歴史からそれを示した。続いて最適なルールはいつか、そのためのキーになるのは何か?ということを書いた。最適なルールとは、(1)学業阻害が少ない(2)抜け駆け企業が少ない(3)採用力の乏しい中小企業にも十分な選考期間が得られる、の三点を考えるべきだ。この条件からすると4年次4月1日前後がよいと私は考えている。

 選考が4月1日からだと、その前に必要な企業説明会がほぼ春休み期間に行われる。就活で一番、物理的に学生を拘束するのは説明会であり、それが休暇期間に開催されるので、このスケジュールは学業阻害が一番小さくなる。

 また、ルール違反企業が抜け駆けするのを防ぐのにも効果的だ。なぜならば、春休み前は後期試験にバッティングするため、そこでは説明会・選考を行っても集まる学生が少なく意味がないからだ。

 そして、4月選考開始であれば、人気企業の採用はその多くがGW前後までで一段落し、不人気企業や中小などの採用期間が十分にとれる。

 続いて、このルールの実効性をあげるキーポイントには、就職ナビの規制強化を謳った。今の就活は就職ナビなしでは企業も学生も思うように進めることができない。そこで、この就職ナビに対して、広告掲載期間の規制を強化することで、ルールが徹底できる。現在でも規制はあるのだが、これは協会内の申し合わせ事項であり、何の罰則もない。何より協会に加盟していない企業は何の規制もされない。だから、ここに強制力を持たせるよう、就職ナビは厚労省の許認可事業にしてしまうことを私は提案した。

 また、申し合わせを遵守する就職ナビも、「インターンシップ」の募集広告は載せ放題だ。とりわけ、1Dayインターンシップの名を借りた偽装説明会は花盛りだ。だからここにも規制を入れる。

 こうすることで、実効性のある就活ルールは作ることができるだろう。

日本にやってくれば外資企業もはまる。それほど日本型雇用は手ごわい

 とここまでを連載の前半で示した。

 後半は、そもそも新卒一括採用など辞めてしまうべきではないか、ということを主題にした。

 まず、なぜ新卒一括採用は日本でのみこんなに浸透しているのか。そして外資系企業やベンチャー企業までなぜみなそれを使うのか。その理由は、無限定雇用という世にもまれな雇用慣行を持つことにある。それを人事管理側面から説明した。

 欧米の企業は社員を勝手に異動させられない。職務ポジションを限定しているのだ。だからこれを限定雇用と呼ぶ。対して日本は自由だ。こちらは無限定雇用と呼ばれる。

 さて、無限定雇用だと、限定雇用よりもはるかに欠員補充が楽だ。空席は横の異動もしくは縦の昇進で楽々埋められる。ただ、こうした異動・昇進は空席を社内パス回ししているだけだ。ただ、このパスを続けていくと、どのポストが空いても、最終的には末端に空席が寄せられ、非熟練者を一人採用すればよい。欧米に比して日本は膨大な末端空席が生まれ、新卒採用となる。

 欧米型の同業×同職×同ランクの即戦力採用は、すなわち競合からの引き抜きであり、本当に針の穴を通すようなるリクルーティング術のため非常に手間がかかる。さらにいえば、採ったら採り返す、という形でし烈な戦いにもなる。対して、誰が抜けても末端社員一人採ればいいという日本型は簡単だ。だからこの方式を、日本にきた外資企業さえまねる。

 こんな状態だから日本型はなくなりはしないとわかるだろう。

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