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間違いだらけの新卒採用、「第二新卒と卒業直前」にヒント 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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第二新卒採用のさらなる拡大と、卒業直前駆け込み採用

 日本型の若年採用に対して、いくつか改革案を付しておくことにする。

 まず、日本型新卒採用の大きな問題として以下ことがあげられる。

・(大手人気企業には)新卒以外だと入職のチャンスが少ない。
・景気変動により就職環境が大きく左右される。

 この改善策として長らく言われてきたのが、「新卒採用に既卒者も含める」という話だ。この施策は、2011年民主党政権だったころから政府要望もあって実施大手企業がソニーなど多数あった。そんな二番煎じ策なのに、同友会は新卒採用改善策として、「学卒後5年程度の若者」を新卒採用の対象とするように、提言を行っている。

 ただ、この仕組みを取り入れた大手企業も成果は上がっていない。まず、有名大手企業が欲しがるような人材は、不況でもそこそこの企業に就職している場合が多い。とすると、その企業を辞めてまで転職するのははばかられる。たとえば、新卒でソニー志望がかなわず、パナソニックに入った人は、よほどのことがないと、ソニーを受けなおすことはない。

 仮に転職をするとしても、まっさらな新卒入社よりは、社会人経験を考慮してくれる第二新卒採用の求人を受ける。だから、「新卒扱い」に応募する人は少ない。

 それよりは、第二新卒採用を拡充させる方が良いだろう。実は常識に反して、日本の超大手(従業員数5000人以上)は、第二新卒をけっこう普通に行っている。少し古い調査となるが、2004年に労働政策研究・研修機構により実施された「第二新卒の実態調査」によると、従業員5000人以上の超大手100社のうち、過去3年に第二新卒者を採用した企業が50.5%と半数を超えていた。ちなみに、従業員5000人を超える超大手企業は日本全国でも500社程度なので、調査対象数の100社はそれなりの捕捉率といえるだろう。

 調査対象となった2001~03年は新卒氷河期直後に当たり、採用をストップしていた企業も少なくない。そうした企業を除いて、新卒採用を行った企業を分母にした場合、割合はもっとずっと伸びるだろう。しかもそれから現在までの15年間に、たとえば大手総合商社のような新卒採用固執の象徴とも思われた企業までも第二新卒が広まってもいる。既卒を新卒に入れ込むなどという話よりもその方が企業経営としても合理的であり、脱日本型にも直結するだろう。

 ということで、第二新卒採用の拡充が一つ。

 もう一つが、卒業直前採用だ。超大手の採用は、3年次後半から本格化し、4年次初盤で決着する。同時期の応募資格に「新4年生」だけでなく「現4年生」も含めてはどうか?そうすると、学生は3年次・4年次と二回、採用のチャンスが訪れる。たとえば3年次に第二志望に決まって納得いかなかった人、留学していた人などが、4年次に再トライできる。そうして採用となった4年生は、次の春に3年生と一緒に入社するのでもよいし、駆け込み入社で現4年生と同時入社でもよい。そこは企業が学生に任せる。

 企業側も、採用枠を2割程度残して置き、現4年生に振り分ける。この2割を増減することで、業績の上下による採用枠の調整が行える。現行の1年前採用では直前景況に合わせた採用枠にならなかったという問題も解決するだろう。

 人事管理的には、「内定即入社などできるか」と二の足を踏む企業もあるだろうが、トライする企業が出てきてもよいのではないか。

海老原 嗣生(えびはら・つぐお)
1964年、東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計等に携わる。 その後、リクルートワークス研究所にて雑誌Works編集長。2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。雇用・キャリア・人事関連の書籍を30冊以上上梓し、「雇用のカリスマ」と呼ばれている。近著は『「AIで仕事がなくなる論」のウソ』(イースト・プレス)。

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