新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

「出世」に代わる2つのインセンティブ 立命館大学教授 西山昭彦

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 目標を持たなければ人のやる気は上がらない。やる気の理論から見ても、受験勉強から今日の仕事までの実践から考えてもそうだ。「定年、第2定年ですべて終わり」と考えると、やる気はあがりようがない。もちろん、仕事以外の目標がある人はそれでいい。ここは、仕事に関心がある人の話になる。

 仕事の範囲で先を考えると、今の会社で延長は期待しにくい。政府から70歳定年の奨励策も出ているが、現業系で延長はあっても、元上級管理職のさらなる延長には会社が組織の若返り、若年層の活用の点から抵抗する。そうすると、管理職が仕事をするには社内では難しく、必然的に社外に未来を見出すしかない。ここで、社外に向き直ることが決定的な転換点である。これまで社内しか見てないので、未来が見つけられなかったが、世間は広い。そこで仕事を探す。

 特定のスキルを持っているあなたを必要としている場所はどこかにある。理由は、第1に企業には規模間格差があり、主としてそれに応じて保有スキルに差がある。つまり大規模企業にいれば進んだスキルを持っているから、それがまだ不十分な企業では必要である。東京と地方でも、先進国と新興国でも同様の差があり、その差に基づいたニーズがある。第2に、今の会社の高給与ではその仕事がペイしないとしても、相対的に低い給与ならペイすることができる。第3に、スキルとモチベーションの掛け算で人のアウトプットが決まるが、先がないと諦めている時のモチベーションと未来が開けた時のそれでは大きな差があり、仕事への姿勢、アウトプットが異なってくる。

(続く、次回はミドル以降に社外で大活躍している実例を見ていく)

西山 昭彦(にしやま・あきひこ) 立命館大学教授
一橋大学社会学部卒業後、東京ガス入社。ロンドン大学大学院留学、ハーバード大学大学院修士課程修了。中東経済研究所研究員。アーバンクラブ設立、取締役。法政大学大学院博士後期課程修了、経営学博士。東京女学館大学国際教養学部教授、一橋大学特任教授などを経て18年から立命館大学共通教育推進機構教授。人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。「ビジネスリーダーの生涯キャリア研究」がライフテーマ。著書は計61冊。

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修、就職

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