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なぜ新卒一括採用がなくならないのか? 外資も真似する理由 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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なくならないどころがますます盛ん。外資やベンチャーさえこれにはまる

 さて、新卒採用ルールに関しての連載、4回目の記事となる。前回までは、新卒ルールはなぜ必要か、それはどのようにすれば一番実効性があるか、を論じてきた。

・新卒採用ルールの連載全7回はこちらから。1回目。 2回目。 3回目。 4回目。 5回目。 6回目。 7回目

 今回からは、がらりと趣旨を変えて、そもそも日本型新卒採用はなぜ、なくなりそうでなくならないのか。それを論じて行きたい。

 もう日本型新卒採用不要論は、少なくとも20年以上も前から高らかに叫ばれ続けている(たとえば、島田晴雄先生の「日本の雇用」(ちくま新書・1994年)など)。だが、なくなるどころか大卒新卒採用数は(不況のたびに一時的な現象はあるが)増え続けている(文科省学校調査より)。80年代後半に新卒就職数は30万人弱だったものが、直近では43万人にもなっている。大手企業(1000人以上)の大卒新卒採用数でも、バブル末期の15万人強が長らくピークだったものがリーマンショック時期にこれを上回り、その後、東日本大震災の前後で一時的減少があったものの、その後はうなぎのぼりで現在は23万人にまでなっている(厚労省雇用動向調査より)。

 なぜ、この仕組みは途絶えるどころか益々盛んになっている。それはなぜか?

 日本型批判論者の「新卒一括採用」に関しては、以下のような解説しかなされない。

■新卒一括採用とは、高度経済成長下で組織が急拡大するときに大量に若手労働者を集めるときに重要だった。もしくは、長期熟練が重要な職人芸の世界で必須だった。だから、現代の知的産業主流かつ、低成長の時代にはふさわしくない。

■にもかかわらずこんな仕組みを残存させているのは、日本企業が、時代遅れで過去の成功体験にしがみついて変われなからだ。要は、経営者も労働者も頭が固い。

 これだけの説明しかされていない。ところが、だ。頭の柔らかいはず日本に来ている大手外資企業やベンチャー企業でさえ、「人気が出て学生が集まるようになれば」、中途採用比率を下げて新卒採用をメインにし始める。もちろん、旧来の日本型企業はまったく新卒採用をやめる気配もない。その理由は果たして「頭が固い」だけで説明などできないだろう。

 実は、この仕組みには大きなメリットがあることをまず振り返っておきたい。

 ここでは、新卒一括採用を単体で論議するのではなく、日本型雇用という系の中で、とらえ直していくことにする。

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