未来の働き方を大予測

なぜ新卒一括採用がなくならないのか? 外資も真似する理由 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

誰が抜けても新卒一人ですむというマジック!

 さて、同じような欠員が生じた時に、日本企業ならどうするか。

 まず、横にいる人を異動させる。たとえば、東京で空席ができたら、全く同じポジションにいる大阪や福岡の人を転勤させて穴を埋めればいい。これは同じ会社で同じ職務をつかさどっている人だから、つつがなく職務を遂行できるだろう。

 ただ、そうすると、今度は転勤してしまった後の大阪や福岡に空席ができる。そう、空席を異動で補充すると、今度はそこに空席がパスされるだけなのだ。こうして空席を横→横にパスしていくと、そのうち、「あの支社には、もうすぐそのポジションを担当できるような若手がいるので、そいつを昇進させればいい」というところに行きつく。

 そこで、今度は下からの補充を行う。ただこれでも空席は埋まらない。今度は昇進させたポストが空席となるからだ。

 さあ、これを続けていくとどうなるか?

 ヨコ・ヨコ・タテ・ヨコまたタテ・ヨコ・ヨコと空席をパスしていくと、最終的にそれは、組織の末端の簡単な仕事にすべてが寄せられていく。

 結果、新卒相応の空席が大量に生まれる。だから、新卒採用が行われる。

 結局、役員が抜けようが、ハイレベルなエンジニアが抜けようが、敏腕のスペシャリストが抜けようが、この、ヨコ・ヨコ・タテ・ヨコのパズルで、新卒一人取ればよい。競合の同職同ポジションを取りに行く欧米型よりもよほど合理的だから、それをやり続けるというのだ。

 ただ、このパイプライン型の補充は、あくまでも社内に大量にいるメイン職務に関してだけだ。たとえばM&Aスペシャリストやブランドマネジャー、最近だと女性管理職などは、パイプライン補充ができない。だから、こうした社内にいない存在に関してのみ、中途採用を行う。実は日本企業は、やっていないようで、こうした特別職に関しては中途をキチンと行っている。大まかにいって、新卒比15%程度の規模で中途採用を行っている企業が多いだろう。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。