誤解だらけの健康管理術

役に立たない? ストレスチェックの生かし方 健康企業代表・医師 亀田 高志

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健康リスクが高い場合の考え方

 この数値が100であれば全国平均となり、それより高いと職場ストレスがより強い、低いと軽いと評価します。例えば、120である場合、全国平均と比べて20%、健康リスクが増加していると判定します。

 実際の集団分析では、企業全体や職場単位での平均値を取って、算出します。個人が特定されないように10人ないし20人以上の単位での分析を基本とすることが推奨されています。

 この健康リスクは計算の途中にも示した4つの尺度と呼ばれる指標で分析することになっています。つまり、

 (1)仕事の量的な負担感
 (2)与えられた裁量や自由度
 (3)上司のサポート
 (4)同僚のサポート

 仕事の量的な負担が大きくても、裁量や自由度があれば、ストレスを感じる度合いは軽くなります。さらに上司や同僚のサポートがあれば、ストレスは和らぐというわけです。

 ご自分だけで算出した健康リスク点数から、ご自身の職場の仲間の様子を考えてみると、集団分析を行なった場合をある程度は想定できるかもしれません。

 厚生労働省では、企業等の側でその結果を活用した管理監督者への研修や職場でのグループワークを起点とする職場環境改善活動を推奨し、これらを実施する職場を今後5カ年で60%とする目標を掲げています。

 しかし、実際にストレスを感じることが多く、健康リスクも高いと想定できる場合に、従業員サイドからできる対応は、職場内での対話しかありません。本来、ストレスチェックの質問のうち、仕事のストレス要因と上司・同僚の支援に関する質問は、職場内の対話で解決できる問題です。

 これを法律で定められた制度でわざわざ毎年チェックしていかなければならず、ここで説明した集団分析と改善のための研修や職場環境改善活動が企業側の努力義務に過ぎないあたりが、くしくも現代のストレス社会を映し出す形になっているかもしれません。

亀田 高志(かめだ・たかし)
株式会社健康企業代表・医師。1991年産業医科大学卒。大手企業の産業医、産業医科大学講師を経て、2006年から産業医科大学設立のベンチャー企業の創業社長。2016年に退任後、健康経営やストレスチェック活用のコンサルティングや講演を手がける。著書に「健康診断という病」(日経プレミアシリーズ)、「課題ごとに解決! 健康経営マニュアル」(日本法令)、「改訂版 人事担当者のためのメンタルヘルス復職支援」(労務行政研究所)などがある。

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修

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