誤解だらけの健康管理術

役に立たない? ストレスチェックの生かし方 健康企業代表・医師 亀田 高志

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ストレスチェックのお陰で職場ストレスがスッキリ消えた?

 毎年の健康診断とは別の機会をわざわざ職場で設け、57項目のアンケートに答えるストレスチェックが始まって、この12月で丸3年が経ちます。しかし「お陰で職場ストレスがスッキリ消えた」という話は、トンと聞いた試しがありません。

 これまでの実績値も定期健康診断のデータとは違って、あまり公表されず、管掌している厚生労働省としても困っているのかもしれません。

 このチェックを受検した人は仕事上のストレス要因、自覚症状、上司・同僚の支援の3つの軸で判定され、高ストレスがあると判定されると、産業医等の医師による面接指導を勧められることになっています。

 「高ストレス状態」とは、29個もある自覚症状のほとんどが“しばしば”(ある)以上の頻度であるか、仕事のストレス要因がほぼ当てはまる上、上司と同僚の支援が多少しか期待できないという深刻な状態です。

 ある研究によると、「高ストレス状態」ではその後の長期の病気療養のリスクが男性で6倍以上、女性で3倍近く、高まる可能性が指摘されているくらいです。

 家族や友人がこのような状態であれば、とても心配なレベルであり、多くの人は医師等の専門家に相談し、休養と取るなどのアドバイスをすると思います。

 けれども、いわば定期健診の精密検査にあたる、医師の面接指導は、法律で禁じられている解雇や雇い止めといった不利益な取り扱い以外に、同僚に知られる心配や評価に響くのではないか、という懸念を生じます。

 厚生労働省によれば、高ストレスの判定を受けた人が仮に100人いたとしても6人しか、これを受けていないことが分かっています。これでは、不調の未然防止を謳うストレスチェックはいわば無用の長物と化してしまうでしょう。

 さらに、ストレスチェックは受検すると必ず、その結果が通知されますが、例えば、“仕事の量が多すぎる”という趣旨の回答をした人には「もう一度、仕事量を見直し、上司、同慮と仕事内容について相談する」というアドバイスが返されたりします。「そんなことができるなら、とっくに相談しているよ!」と怒ってしまう人もいるかもしれません。

 毎年、従業員一人当たり数百円以上を負担し、主管部門が労力をかけ、受検する側もある程度の時間をかけ、チェック自体にストレスまで感じている人さえいるのに…と、担当自身者がどうすれば効果が出せるのかと悩んでしまうような状態になっているのです。

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