未来の働き方を大予測

就活ルール、2013年の「後ろ倒し狂騒曲」は最悪な結果を招いた 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

就活よりも景況が色濃く影響する留学生数

 その数字が坂道を転がるように減少しだすのは、08年以降となる。留学生は2010年に5万8000名と3割も減少、このデータをもって、就活後ろ倒し要望がなされることになる。政府に意見した識者の根拠はこの表面上の数字だけなのだ。

 データの推移を見て、留学生減少の本当の理由にピンと来る人は多いだろう。

 そう、ずばり、景況だ。リーマンショックが起きた2008年以降、数字は落ち始める。

 そして数字は、東日本大震災のあった2011年度にボトムを記録したあと、若干ながら回復に転じていた。しかも2004年から2014年までの10年間で留学適齢期と言われる18~30歳人口は約3割も減少した中での底這い状況なのだ。一方、就活ルールを変更した2014年以降もこの底這い状況は上昇になど向かっていない。

 そもそも、日本人の海外留学は、その8割以上が「6か月未満」と短期なのだ。こんなに短ければ、1~4年次の中でいつでも都合のよい時期を選べるはずだ。

 つまり、海外留学生減少を就活のせいにして、後ろ倒しさせたことは、全く意味のないことだとわかるだろう。

 振り返ればわかるだろう。5年前におきた「後ろ倒し美化」運動は結局何も実りはなかった。そして、当初から経団連が訴えたとおり、採用ルールは形骸化し、ルールを守る正直者が馬鹿を見るだけの結果となった。

 少なくとも日本が新卒一括採用を急にやめられないのであれば(新卒採用をやめて欧米型にすべきか否かについては、また別の回にて触れる)、それが一番、学業にも産業にもデメリットが少なくなる状態をまずはめざすべきだろう。

 その方策について、次回は書くことにしたい。

海老原 嗣生(えびはら・つぐお)
1964年、東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計等に携わる。 その後、リクルートワークス研究所にて雑誌Works編集長。2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。雇用・キャリア・人事関連の書籍を30冊以上上梓し、「雇用のカリスマ」と呼ばれている。近著は『「AIで仕事がなくなる論」のウソ』(イースト・プレス)。

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修、就職、就活、就活ルール

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。